「君の服を買いサプリメント マカ

「君の服を買いに行くぞ」
マカ サプリ 亜鉛 サプリ仕事から帰ってすぐにレオンハルトはそう告げた。
 喧騒の中、2人は街を歩いていた。レオンハルトは行き先がもう決まっているのかすたすたと迷いなく歩く。
(服かー)
 先日だめ亜鉛にしてしまったが、着替えくらいは当然持っている。別にそんなに焦らなくても、と呑気に構えるミモザに「ここだ」とレオンハルトは足を止めた。
「……え?」
 明らかにミモザのような人物は門前払いされそうな高級そうな店がそこにはそびえ立っていた。

「いらっしゃいませ、ガードナー様」
「服を用途に合わせて一式揃えてもらいたい」
「かしこまりました。こちらのお部屋へどうぞ」
 な亜鉛んと個室である。通された部屋は普通に広く、そこに次々と服が運び込まれて来る。部屋にはソファとテーブルがあり紅茶を出されたが、ミモザはそこに座ることもできず立ったままぽかんとその光景を眺めていた。
「ミモザ、座れ」
「れ、れれれレオン様、これは……」
「服を見に行くと言っただろう」
 その不思議そうな表情を見ているとなんだかおかしいのは驚くミモザのような気がしてきてしまう。
(いや、そんなわけない)
 ぶんぶんと気を取り直すようにミモザは首を振アントシアニンる。
「レオン様、僕お金ないです」
 昨日もらった3万ガルドはあるが、それ以外はほとんど母親に送ってしまっている。
「俺が出すから問題ない」
「も、問題です。出していただく理由が……っ」
 言いかけるミモザをレオンハルトは手で制した。
「これは必要経費だ」
「必要経費」
「ああ」
 彼は頷くとソファへと深く腰掛け優雅に紅茶を口に運んだ。
「昨日のように服がダメになることなどこれからざらにある。騎士団では制服は当然支給される。うちの屋敷の使用人の制服も同様だ。それと同じで君を管理する立場にある俺が服を支給するのは当然のことだ」
「な、なるほど」
 確かに仕事を任されるたびに服をダメマカにしていてはミモザはそのうち破産してしまう。しかし、
「高そうなお店ですよ」
 部屋に並べられた調度品を見て恐ろしくなる。どうせ汚れるなら汚しても罪悪感を抱かない価格帯の品にして欲しいものだ。
「安物だといざという時に足を引っ張られるからな」
「足を引っ張られる?」
「環境に適応できないとそれだけで体力を消費する。例えばいつも俺が着ている教会騎士団の制服はチソウ鳥の羽でおられた布でできている」
「はぁ」
 よくわかっていないミモザにレオンハルトはちらりと目線だけを流す。
「丈夫で軽い。羽に空気を含んでいるから寒い地域では暖かいし、暑い地域では通気性がいいので蒸れない。そして高級品だ」
「なるほどー」
 つまり戦うのに快適な服装を用意したいということのようだ。
「ここはチソウ鳥でできた服を取り扱っている。安い店ではまず見ないからな」
「ええと、ありがとうございます」 
 そわそわと相変わらず亜鉛 サプリ おすすめ店の高級感に落ち着かない気持ちになりつつ、とりあえず事情に納得がいったのでミモザもレオンハルトの隣へと腰を落ち着ける。
「それにしてもチソウ鳥?って初めて聞きました。そんな鳥どこに住んでるんですかね」
「過酷な環境にいることが多い鳥だからな。外敵の少ない環境に適応するために優秀な羽毛に進化したんだろう」
 なるほどー、と頷いて紅茶を一口飲む。高級そうな味がする。
「ちなみに名前の由来は過酷な環境に踏み入って餓死しかけた人間がその鳥を見つけて『ごちそうだ!』と叫んだというエピソードだ。焼いて食うと美味い」
「か、可哀想」
 まさかの由来だった。
「羽はむしられるわ食べられるわで散々ですね」
「まぁな」
「ガードナー様、準備が整いました」
 くだらない話を特に笑いもせず続ける師弟に、店の人間が営業スマイルで声をかけた。

「どれがいい?」と尋ねられた。店員もにこにこと笑って「お嬢様は大変お綺麗ですのできっとどれもお似合いですよ」とお世辞を言ってくる。
「えーと、どれがいいですかね」
 人間選択肢が多過ぎるdha epa dhaと決められなくなるものらしい。というか田舎のおばあちゃんがやっているような服屋にしか行ったことのないミモザにはあまりにもハードルが高すぎた。
「好みはないのか」
「好み……」
 随分と久しぶりな気がする質問にミモザは戸惑う。
(可愛いのがいいと言ったら呆れられるだろうか)
 もごもごとしているミモザに「こちらなどはどうでしょう?」と店員のお姉さんが助け舟を出してくれた。勧められたのはシックだが所々にワンポイントでレースや花の飾りのついた可愛らしい白いワンピースだ。
 これまでそういった女の子らしい服に飢えていたミモザの目はそのワンピースに釘付けになる。
「ええと」
 それが欲しい、と口にする前に
「いや、それはダメだな」
 とレオンハルトが却下した。ガンッとミモザは頭に重しが乗ったような感覚に陥る。
「だ、だめですか」
 思わず声が震える。そんなミモザの様子にレオンハルトは怪訝そうな顔をしつつ「ああ、ダメだ」と断定した。
「スカートだと戦う時に動きずらい。ズボンに合わせられるものがいい」
 ミモザの目が点になる。
(そりゃそうだ)
 そりゃあ、そうだ。戦うのに都合が良い服を探しに来たのだ。
「えっと」
「そうだな、装飾がどこかに引っかかると困るかゴーヤら装飾のなるべくないものでシルエットの隠れる物にしてくれ」
「シルエットですか?」
 首を傾げるミモザにレオンハルトは頷く。
「内側に防具を付けているだろう。それがわからないような物の方がいい」
「確かに」
 ミモザも頷く。レオンハルトも同様だが、服の内側にミモザは薄い鎖かたびらのような防具を付けている。一応肩や胸あたりにもプレートのような物を仕込んでいる。それが隠れる服の方が見た目的にいいだろう。
「それに君のその鍛えた体格も隠した方が都合がいいしな」
「え?」
「君の容姿は相手の油断を誘える」
 にやり、と悪どい微笑みを浮かべる。しばし惚けた後、その意味を理解してミモザも同調するようににんまりと笑った。
「できるだけ油断を誘えるような子どもっぽい服装にしましょうか」
「そうだな、まぁ年齢相応に可愛らしい服がいい。なるべく争いごととは無縁そうな印象を与えたい」
 2人してふふふ、と笑い合う。
「相手を油断させて不意打ちできるような?」
「相手が君をあなどって手を抜くような」
 勝負が始まる前から自分に有利な状況を整えるのは大事なことだよ、とレオンハルトは囁いた。

 結局服はチソウ鳥の羽毛で編まれた少し丈が長くゆったりとした白いパーカーに黒のショートパンツを合わせたスタイルになった。黒いタイツも今まで同様に履くが、所々に針金のように細い金属を織り込んだ物になっていて強度が増している。
 ミモザは新しい服亜鉛を着てくるりと一回転する。トップスはシンプルなデザインだが裾と袖口に黒い糸で花の刺繍が施されており可愛らしい印象を与えるものだった。ズボンなのは相変わらずだが、いままでのただただシンプルで男の子っぽいだけだった服装とは雲泥の差である。
「よく似合っている」
 レオンハルトは頷く。それに「えへへ」と笑ってから照れを誤魔化すようにミモザは「そういえば」と呟いた。
「なんだ?」
「えっと、変な質問なんですが、このパーカーとかっていつからあるんですかね」
 そう、実はこの世界、服だけでなくちょくちょく現代にあるような代物を見かけるのである。
 レオンハルトは「なぜそんなことを気にするのか」という顔をしつつ「さあ」と首を捻った。
「パーカーでしたら確か今から150年ほど前にできたと言われていたはずですよ」
 その時控えていた店員さんが答えをくれた。
「150年前?」
「ええ、当時有名な発明家であられたハナコ様が作り出した物です」
(花子……)
 これはおそらく
(異世界チートだ)
「これもそうなのか」
「はい。ハナコ様は機械から食品に至るまでありとあらゆる物を発明致しておりましたから」
「あのー、花子様って……」
 共通認識のように会話が進むのに、恐る恐るミモザは尋ねる。それにレオンハルトは意外そうな顔をした。
「知らないのか?」
「えっと、すみません」
「歴史的な偉人だ。彼女により100年近く文明は進んだと言われている」
(でしょうねー)
 どうりで生活しやすいはずである。
「フルネームはハナコ・タナカと言う」
「う、嘘っぽい」
 『田中花子』はサプリメント マカさすがにパーカーの売られている時代には少ない名前だろう。いや、それとも本当に本名だろうか。
「うん?」
「あ、えっと、なんでもないです」
「興味があるなら国立博物館に展示品があったと思うが……」
「あ、大丈夫です。全然、全然」
「そうか?」と怪訝そうにしつつレオンハルトは紙袋を渡してきた。思わず受け取ってからミモザは首を傾げる。
「これは?」
「うん?気に入ったんだろう?」
 それだけを言うとレオンハルトはさっさと店外へと向かってしまった。どうやらもう会計は済んでいるらしい。紙袋の中身を見ると、それは最初に店員に勧められた白いワンピースだった。
「レオン様!」
 慌ててミモザは追いかける。
「これっ!」
「仕事以外の時に着ればいい」
「えっと」
 言葉に詰まる。結局なんと言ったらいいかが分からず、紙袋を抱きしめるとミモザはなんとか「ありがとうございます」と声を捻り出した。
「ええと、その……」
 けれど他にも何か言うべきことがある気がして、店を出たところで立ち止まる。レオンハルトは怪訝そうに振り返った。
「ミモザ?」
「あ、あのっ!」
「聖騎士様でいらっしゃいますか?」
 しかしそれは言葉にならずに終わった。突然現れた声に遮られたからだ。
 振り返るとそこには上品そうな身なりをした少し年嵩の女性が立っていた。彼女はブラウンの髪をしっかりとお団子に結い上げて黒い服に身を包んでいる。
 まるで喪服のようだ。
「いかにもそうだが、貴方は?」
「私はジェーンと申します」
 その名前を知っている気がしてミモザは首を傾げる。しばし考えて、それをどこで『見たのか』を思い出して唖然とした。
「少しお時間をよろしいでしょうか」
 彼女は試練の塔被害者遺族の会の話の時に見た、試練の塔を封鎖して亜鉛 サプリ おすすめ欲しいというコラムを書いた張本人であった。
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 周囲は喧騒にクロムの効能

 周囲は喧騒に包まれていた亜鉛の効果。まだ日が高い時刻のため人の往来も激しい。故郷の村ではdha epa決して見ることのできない賑やかで華やかな街の様子をステラは店主が店の奥から出てくるまでの時間を潰すために眺めていた。ふと自身の手が目に入る。右手のアントシアニンの効果甲に浮かぶ花のような紋様のその花弁のうちの一枚が金色に輝くのを見てステラはふふふ、と満足そうに笑う。
「お嬢ちゃん、計算が終わったよ」
 年配の店主がゆっくりと店の奥から出てくるとカウンターへ腰掛けた。彼は老眼鏡の位置を直しながら伝票と現金を弄る。
「全部でこのくらいの価格で買い取れるけどもねdha epa dha
「わぁ!ありがとうございます!」
 なかなかの価格にステラは目を輝かせる。ステラの精霊騎士を目指す旅は順調に進んでいた。第1の塔では金の鍵を簡単に見つけられたし、野良精霊を倒すのも手間はかかるがそんなに難しくはない。初めは路銀稼ぎに苦労すると噂では聞いていたが、これだけ稼げるなら余裕で王都で過ごすことができる。
(ミモザは銅だったわね)
 卒業試合では遅れをとってしまったが、しかしミモザはミモザだ。やはりステラよりも劣っている。
(どうしてレオンハルト様はミモザを側におかれるのかしクロムの効能ら)
 ステラの方が何においても優っているというのに。もしかしたら優しいレオンハルトはだからこそ妹に肩入れしているのかも知れなかった。いじめを受けて祝福も1番下のものしか受けることができない。確かに同情するには十分かも知れない。
 上機嫌でお金を受け取ろうとして、店主はしかしそれを手で覆って渡すことを拒んだ。
「………? 店主さん?」
「これは一日で取ったのかい?」
 店主はじっとステラを探るように目を見つめてきた。それに首を傾げてステラは頷く。
「ええ、そう……」
「ステラっ!!」
 そこで息を切らしてアベルが駆けつけた。物資の買い出しの途中でステラだけ抜けてきたので心配していたのだろう。彼は必死の形相だ。ステラと店主の手元を見て、アベルは亜鉛 サプリ おすすめ顔を真っ青に染めた。
「これは子どもの時から集めてた奴も混ざってるんだ!ガキの頃は換金なんてできなかったから!」
 そうして意味のわからないことを言う。ステラは首を傾げてアベルの言葉を訂正しようと口を開きーー、その口をアベルの手で塞がれた。
「………。まぁ、いいがね、厳密に一日に何匹狩ったかなんてのを取り締まるのはどだい無理な話なんだ」
 そう言ってため息をつくと店主は金をアベルへと渡した。
「けどねぇ、お嬢ちゃんら、やりすぎはいかんよ。多少は見逃されるけどね、あんまりにも度が過ぎりゃあ絶対に取り締まられる」
 ちろり、と店主の灰色の目が鋭くステラの目を射抜いた。
「密猟ってやつはね、加減を知らんといけんよ」
「………肝に銘じておきます」
 ステラの開きかけた口をまた手で押さえて、アベルは神妙な顔でそう言った。
「行くぞ」
 そのままステラの手を強引に取って歩き始める。その歩く速度の速さにステマカ と はラは戸惑う。
「アベル、ねぇ、アベル!」
「1人で動くなって言っただろうがっ」
 怒鳴って、アベルはステラの手を離した。そのまま2人は橋の上で立ち止まる。無言の中で川のせせらぎだけが鳴っている。
 振り返らないアベルの背中は震えていた。
「アベル……?」
「わりぃ……、怒鳴るつもりはなかったんだ」
 アベルはゆっくりと振り返った。金色の瞳が、真っ直ぐにステラを見つめる。
「なぁ、ああいうことはやめよう」
「ああいうことって?」
「密猟だよ。一日に20匹以上狩るのはやめよう」
 ステラは首を傾げる。アベルが何故辛そうなのか、その理由がわからなかった。
「どうして?」
「法律違反だからだ。ミモザも言ってただろ。今回は見逃してくれたが、頻繁に繰り返すとまずい」
 ステラは表情を曇らせた。
「……アベルはミモザの味方なの?」
「お前の味方だよ!だから言ってるんだ!!」
 眉を顰める。ステラの味方なのにステラの行動を止める理由がわからない。
「でも、20匹以上狩ってもわたしは大丈夫なのよ。怪我もしないわ。そんな制限なんてなんの意味があるというの?」
「理由なんかどうだっていい!問題なのはそれが犯罪だってことだ!」
アントシアニンの効果アベル……」
「なぁ、ステラ、わかってくれ。俺はお前が大事なんだ。傷ついてほしくない」
「……わかったわ」
 本当はわからない。けれどアベルがあまりにも辛そうで、ステラはそう言っていた。
「ステラ……っ」
 アベルが安心したように破顔してステラを抱きしめる。
「ごめんね、アベル。アベルの嫌がることをして」
「いいよ! いいさ、わかってくれれば!」
 ぎゅうぎゅうとアベルに抱きしめられながら、ステラは思う。
(アベルが気づかないようにしないと……)
 知られるたびにこうもうるさく言われては面倒だった。

 かたん、と軽い音を立てて扉を開ける。
「ああ、ミモザ。帰っていたのか」
「レオン様っ!?」
 部屋から出た途端にかけられた声にミモザは飛び上がった。
 彼もちょうど帰ってきた所だったのだろう。自室の扉を開けて入ろうとした時にミモザが隣の部屋から出てきて鉢合わせたらしい。
「なにをそんなに驚くことがある」
 彼はそんなミモザの反応に憮然とした。
「いや、急に声をかけられたもので……」
 ついでに言えば考えごとをしていたせいでもある。
 ステラのことだ。
 姉のあの行為をレオンハルトに相談するかどうかを悩んでいたら、急に声をかけられて飛び上がってしまったのである。
(どうしようかな……)
 軍警に届け出るというのは選択肢にはdha最初からない。なにせ本人の自白以外に証拠のないことであるし、積極的にステラを追い込む気にはなれないのだ。
(覚悟が甘いな、僕も。……奪うと決めたのに良い人ぶりたいのか?)
 しかしミモザはステラから聖騎士の座をぶんどる覚悟はしていても、ステラから社会的な立場を奪う覚悟はしていなかったのだ。元々はせいぜいが悔しがって地団駄を踏んで欲しかっただけである。笑えるほどに甘っちょろい報復を目論んでいたのだ。
 しかし見捨てると決めたからには、ミモザも覚悟を決めなくてはならないのだろう。
 例えステラがどうなっても、見捨て続ける覚悟を。
「ミモザ?どうした?」
 黙り込むミモザに不審そうにレオンハルトが問いかけた。それに一瞬逡巡し、
「なんでもありません。第1の塔の攻略をしてきました」
 結局ミモザは黙ることを選択した。
 しかしこれはステラに温情をかけたのではない。むしろ逆だ。
(落ちるなら、とことん勝手に落ちていってくれ)
 今ここでステラの罪状を食い止めてあげる義理はミモザにはないのだ。
 ステラの行為に目をつむる。
 それがミモザなりの、『ステラを貶めたい』という自分が抱く悪意に対する礼儀であり、言い訳の許されない悪人になるという覚悟だった。
ゴーヤ チャンプルーdha epaクロムの効能クロムの効能

 そこは森の中だdha epa dha

 そこは森の中だった。
 青々と生い茂る木々や草花、頭上まで覆dha epaう木の葉の隙間から木漏れ日が溢れる。
 ゴーヤどこか遠くで鳥の鳴く声がしていた。
 ミモザはあたりを見渡すと遠くに何か光る物が見えた気がしてそちらに近づく。そこにあったのはーー、
「聖剣……」
 木々や草花がそこだけ生えるのを避けクロムの効能たかのような森の中の突如開けた空間に、その何の変哲もない剣は刺さっていた。
 近づいてしげしげと眺める。
 ごくり、と一つ唾を飲み込んだ。
 ミモザはそれに手をかけると、勢いよく一気に引き抜いた。
「………抜けた」
 思わずぽかんとする。しかし何か力が湧いてくるような気配はない。
 どうしようかな、と剣をぷらぷら振ってみると
『何のたゴーヤめに力を望む』
「うおっ」
 剣から声がした。もう一度振ってみる。
『何のために力を望む』
 まったく同じセリフがきた。
(なんか、あれに似てるな)
 ボタンを押すと決まったセリフを喋ってくれる人形みたいだ。
 ミモザはもう一度振ろうとして
『振るな。何のために力を望む』
 注意を受けた。どうやら録音された音声が再生されているわけではないらしい。
 ミモザは周囲を見渡して誰かが近くに潜んで腹話術をしていないかを確認してから、小さく一度息を吸って、言った。
「奪い返すために」
『何を?』
 その質問にちょっと悩んで、告げる。dha epa
「僕の、生きる価値を」
 しばしの沈黙が落ちる。ミモザはあまりにも正直過ぎたか、と少し後悔した。
 あまりに利己的で小さな動機だ。
 世界を救うためじゃない。誰かを助けるためでもない。
 自分自身を、満足させるためだけだ。
 たったそれだけのことに命を賭けている。
 自分のちっぽけで、あまりの小者ぶりに笑えてくる。
 そこまで考えて、ふともう一つ思いついた。
「大切な人を守るために」
 レオンハルト。
 ミモザの脳裏にあの藍色の髪と金色の瞳がちらつく。
 彼が死んでしまったり、狂化に飲まれてしまう運命さえ変えられれば、例えミモザがどうしようもない奴でも、例えミモザが聖騎士になることに失敗したとしても、上出来ではないだろうか。
 ミモザは微笑む。
 先程の自嘲の笑みとは違う、それはとても穏やかで見る者の目を奪亜鉛 サプリうような満ち足りた微笑みだった。
『ふむ』
 聖剣は考え込むような声を発する。
『動機が不純なのはまぁいいが、魔力が足りんからダメじゃ』
「え、」
『あと不適合者が触れた場合は私はここから解放されることになっておる、感謝する』
「え?」
 そしてばきり、と剣は折れた。
「……………」
 ミモザは折れた剣を見つめて呆然とする。
(魔力の話なんか聞いてない)
 ゲームではそんな設定はなかったはずだ。
「クソゲーめ」
 淡い期待を抱いて損をした。ちぇ、と口を尖らせてミモザは折れた剣を投げた。それはミモザがここに入る時に通過した壁にぶつかり、そして通り抜けて消えた。
「いてっ」
 続けて、誰かに当たった音と声がした。
 ミモザは慌てて壁に頭を突っ込んで異空間の出入り口から外を覗く。
「あー、なんじゃこれは」
「折れた剣みたいだね」
 息を呑む。そこには以前第5の塔で遭遇した老人、保護研究会のロランが頭をさする姿と、その隣で剣の残骸を拾う見知らぬ少ゴーヤ チャンプルー年がいた。
 少年はミモザとちょうど同じくらいの年齢に見える。淡い水色の髪に水色の瞳をした中性的な美少年だった。真っ黒い礼服とネクタイという服装と声でかろうじて少年であろうと推察できた。
 にこやかに微笑んでいるように見えるのに、何故だか不吉な印象を与える少年だ。
 ミモザは少し悩むと、彼らが折れた剣に気を取られている隙にそっと異空間から抜け出して彼らの背後へと回った。
 そしてチロをメイスへと変えるとロランへ向けて振り上げる。
「ロラン」
 水色の少年がまるで後ろに目がついてでもいたかのように振り返るとミモザへと杖を向けた。
 そこから風の刃が鋭く放たれる。
「……っ」
 ミモザは素早く後方へと飛んでそれを避けた。
「あっ、おぬしは」
 ロランがミモザを見て声を上げる。
「知り合いかい?」
 少年は親しげにロランに声をかけた。年端もいかない少年が老人に対等な立場で話しかける様子はいやにちぐはぐな印象を受ける。
 しかしロランは気にせず少年の問いかけに頷く。
「第5の塔で邪魔をしてくれおった小娘じゃ」
「あーあの、聖騎士の弟子だっけ?」
「そうじゃ」

『どうしてここに?』

 見知ら亜鉛 の サプリぬ少年とミモザの言葉がかぶった。
 ミモザがメイスを構え、ロランも槍を構えた。その間に立つ少年はまるで降参でもするように両手を上げながらにこりと笑う。
「まぁ落ち着きなよ。ボクは君と敵対するつもりはないよ。今はね?」
「なぜですか?」
「メリットがないからさ。逆に言えば君と仲良くしてもデメリットがない」
 ロランも落ち着きなよ、と彼は声をかける。
「むぅ、しかしこの小娘は……」
「話は君から聞いて知っているよ。なかなかの食わせ者だっていうのはね」
 彼は心得ていると言わんばかりにぱちり、とミモザにウインクをしてみせる。
「でも君も今は手を出す理由がないんじゃない? 僕たちは今、なんの犯罪行為も犯してないんだからさ」
「貴方はともかくそちらのご老人は脱獄犯ですよ」
「まぁまぁ、それだけじゃない」
「大問題なんですけど」
 あの後レオンハルトの機嫌が悪くて大変だったのだ。なだめるのにどれだけ苦労したことか。
 半眼で見やるミモザに、彼は人差し指を顔の前でピンと立てて見せると「聖剣」と呟いた。ミモザはぎくりと肩を揺らす。
「こんなところで遭遇するなんて、それ以外に理由があるかい?」
「なんのことだかわかりませんね」
 そらっとぼけるミモザに「実は随分前からこの場所に目星はつけていてね」と彼は語りかけた。
「けどここから先、聖剣の取り出し方がわからなかったんだ」
 先ほどミモザがdha投げ捨てた折れた剣を彼はかざして見せる。
「これ、壊れているけど聖剣だよね? そしてこの剣の出現と同時に君は現れた」
「……僕はただの通りすがりです」
 苦しいがミモザとしてはそう言ってしらをきるしかない。ここで認めるのは悪手だ。
 ふむ、と彼は一つ頷く。
「質問を変えよう。ここに来るまで手掛かりとしてあるはずだった石碑がすべて破壊されてたんだよね」
「あ、あー……」
「知らないかい? 石碑」
「知りません」
「ほんとーに?」
「知りません!」
 しばし、じぃっと彼はミモザのことを疑わしげに見つめた。ミモザは必死で目線を逸らした。
「………」
「……………」
「…………………」
「………………………すみません、それあげるんで勘弁してください」
「やっぱり壊したのは君だったか」
 まぁここに三人しか人がいない以上、その中の誰かが犯人なんだけどね、と少年は肩をすくめる。
「ボクとロランが違えば君しか犯人いないよね」
「他の第三者かも知れないじゃないですか」
「本気で言ってる?」
 もちろん、本気では言っていない。悪あがきをしてみただけだ。
「ご先祖様の手記には場所の手がかりは書いてあったけど取り出す方法は書いてなかったんだよね」
「ご先祖様?」
「そう。ああ、そういえば名乗ってなかったね」
 そういうと少年は綺麗な礼をしてから黒い五角形を取り出して見せた。五角形の一番上の角に金色の印がついている。
「ボクはエオ。保護研究会の五角形のうちの一角だよ」
 彼は美しく微笑んだ。
 その名前にミモザは聞き覚えがあった。
「貴方がバーナ亜鉛 サプリードの言っていた……」
「……ああ。彼を捕まえたのも君なのか」
 彼の言葉にしまったとミモザは迂闊な発言を後悔する。
(敵だとみなされただろうか)
 いざとなったら逃げ出そうと片足を後ろに下げたところで、彼はそれに気づいたように苦笑した。
「ああ、気にしなくていいよ。保護研究会のメンバーはそれぞれ独立していて仲間意識は薄いんだ。一角が削れたって別の誰かがそこに補充されるだけだからね」
「……はぁ」
 それはなんとも薄情な話である。
 しかしロランは彼とは異なる意見なのか案ずるように「バーナードはどうなった?」と尋ねてきた。
「……今は牢屋に収監されていますよ。しかし犯した罪が罪ですから。近いうちに死刑が確定するでしょう」
「……そうか」
「おっと、そういえば例外がいたねぇ。君はみんなと仲が良かった」
 呆れたように、しかし許すように微笑んでエオは言う。
「そうだな、君が望むなら彼のことを牢屋から連れ出してあげても構わないよ。君のことを連れ出したようにね」
(エオがロランのことを脱獄させたのか)
 ミモザは驚く。どうやら二人はそれなりに親しい仲のようだ。ロランは彼の提案に少し悩んだ後、
「いや」
 と首を横に振った。
「助けに行くならわしが行くからいいわい」
「それは良くないなぁ」
 それにエオは難色を示す。
「君の脱獄があってただでさえ警備は強化されているし、その上彼は王国騎士団団長の恨みを買っているからね。君が行ったら一緒に捕まるのがオチだよ」
「む、む……」
「行くならボクと一緒だよ。それ以外は認めない」
「むぅ……」
 ロランは困ったように眉を寄せ、結局「少し考えさせてくれ」と結論を見送った。
 どうやらこの二人に関しては主マカ導権はエオが握っているらしい。
 エオはこちらを見ると「脱線しちゃったね。なんだっけ? 自己紹介だったっけ?」と首をひねった。
「もうお名前はお伺い致しました」
「そうそう、そうだったね。ちなみに本名はアイウエオだよ。長いからみんなエオって呼ぶんだ」
「50音じゃん……」
 その補足情報に思わずミモザは小声でつっこんだ。
「え、」
「ん?」
「あ……」
 ミモザはぱっと自分の口を両手で塞ぐ。
 エオと名乗った少年はそれを面白そうに眺める。
「君、この音の並びに心当たりがあるの」
「ありません、ありません」
「ふーん?」
 ミモザは冷や汗をだらだらと流す。
(なんで日本語の50音が名前なんだ……?)
 全くもって意味がわからない。
「ゴジューオンって、なんじゃ?」
 二人のただならぬ様子にロランが首を傾げる。
「うふふ、なんだろうねぇ」
 明らかにわかっている様子のエオはにやにやと言った。
「ちなみにこれはご先祖様の手記に記されていた音でね、50文字が5から3文字のまとまりで記されていたものだよ」
 やっぱり50音表だった。
「ここから順番にうちの人間は名付けられることになっている。ちなみにボクは一人っ子だけど弟が生まれれば名前はカキクケコになっていたはずだよ」
 あまりに雑過ぎる名付け方だ。そしてやっぱり意味がわからない。
 エオの言った情報が本当だったとして、日本語の知識があったのはエオではなく先祖だったということになる。
(そういえばご先祖の手記に聖剣の場所の手がかりが書いてあったって言ってたな)
 ということはエオの先祖はゲームのプレイヤーだった可能性が高い。転生なのか転移なのかはわからないが、それに類する何かなのだろう。
 そこでふと、ミモザは思い出した。
「あのぅ、もしかしてなんですが……」
「うん?」
 エオは促すように顎を上げる。
「貴方のご先祖様って、ハナコ・タナカ様って名前じゃありませんか……?」
 以前聞いた150サプリメント マカ年前の異世界チートのお方である。
 その質問にエオは目を見張ると「驚いた」と口にした。
「その通りだよ。よくわかったね」
「ははは……」
 なるほど、納得である。
「ボクはフルネームをアイウエオ・タナカというんだよ」
 聞けば聞くほどふざけた名前だ。しかし日本の知識がない人間は少し変わった名前としか思わないのだろう。
「それで? えーと、君は……」
「あ、ミモザです」
「ミモザちゃん、君は何者なのかな?」
 にやにやとエオは察しがついているように尋ねてきた。
「えっと、僕はレオンハルト様の弟子で……」
「うん、知ってる」
「えーーーーとっ」
 ミモザの思考はぐるぐると空転する。彼は敵か味方かというと敵寄りの人間である。
(ーーというか)
 はっとミモザは気づく。
(彼は主人公の攻略対象では?)
 確か保護研究会にも一人いたはずだ。天才キャラだったと記憶している。
 立場の強そうな美少年。その上、日本の知識あり。
(攻略対象な気がする)
 しかし確証はない。記憶があやふや過ぎてわからないのだ。
「うふふ」
 黙り込むミモザをどう思ったのか、エオは笑うと折れた聖剣を振って見せた。
「まぁ、これの提供に免じて今は君の正体は暴かないでおいてあげよう」
「ありがとうございます」
 普通に助かったのでミモザは平身低頭した。
亜鉛ポリ ペプチドアントシアニンの効果dha epadha epa dha

 レオンハルトは英ゴーヤ

 レオンハルトは英雄でdha亜鉛ある。
 国に被害をもたらすボス精霊や狂化個体を撃ち倒し、隣国との親善試合で勝利を収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実サプリメント マカ力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持ち主だ。
 つまり何が言いたいかと言うと、
 天才は人に物を教えるのに向かない。
 その事実をミモザは今実地で味わっている。

 彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
 それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
アントシアニン人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
 衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならないぞ!」
 かくして地獄の鬼ごっこの幕が開けた。

 再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザはそれを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じように攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
 どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
 貴方マカ と はのほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
 また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つになる。
 ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
 遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
 レオンハルトが犬歯を剥き出しにしてにぃ、と笑う。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
 ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
 学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
 その瞬間dha、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
 手の中からメイスが消えている。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
 近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
 パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームの中でミモザが使っていたものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
 ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
 しげしげとdha epa内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
 そりゃそうだ。
 どれもゲームの中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
 ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
 嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなければな」
 言っていることはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。ようはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
 その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
 しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
 レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……アントシアニン
「先ほどので君は追い詰められれば本領を発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
 そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼこっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
 そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
 一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
 笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
dha epa dhaポリ ペプチド亜鉛の効果

 レオンハルトクロム

 レオンハルトは英雄である。
亜鉛 の サプリ 国に被害をもたらすボス精霊や狂化個体を撃ち倒し、隣国との親亜鉛 サプリ おすすめ善試合で勝利を収めるなどの数々の手柄を挙げたことにより、平民にも関わらず聖騎士の称号とさらには爵位まで賜ったまさに実力ですべてを手に入れたサクセスストーリーの持ち主だ。
 つまり何dha epa dhaが言いたいかと言うと、
 天才は人に物を教えるのに向かない。
 その事実をミモザは今実地で味わっている。

 彼は言った。
「まずは手本を見せよう」
 それはまぁ、いい。そしてさらにこう続けた。
「人間は追い詰められた時に本領を発揮する」と。
「ひぃーー!!」
 衝撃波がミモザの髪をかすめる。
「はっはっは!逃げてるだけじゃ修行にならない亜鉛ぞ!」
 かくして地獄の鬼ごっこの幕が開けた。

 再びレオンハルトの剣から斬撃が衝撃波として放たれる。ミモザはそれを死に物狂いで避けた。
「なにをしてる。同じように攻撃して相殺しろ」
(いや失敗したら死ぬんですが!)
 どうやらレオンハルト的にこの攻撃は見本を見せているつもりらしい。
(なにをしてるじゃない!)
 貴方のほうこそ一体『なにをしている!』と言いたい。
(言えないけど!)
 また衝撃波が放たれた。ミモザが隠れていた岩がチーズのように真っ二つになる亜鉛
 ミモザがあちこちの木や岩を盾にしたせいで周囲は大惨事だ。
(まずい……っ)
 遮蔽物が破壊され尽くし、盾にするものがなくなった。
 レオンハルトが犬歯を剥き出しにしてにぃ、と笑う。
「さぁ、防いでみせろ!」
(死ぬ)
 ひやりと冷たいものが体に走る。その時ミモザの身のうちに湧き上がってきたのはどうしてこんな目に合うのかというレオンハルトに対する理不尽な怒りだ。
 学校でいじめられている時も感じていた。もう傷つきたくない。傷つけられたくない。もう誰にも傷つけられるのはーー、
「いやだっ!!」
 その瞬間、一気に膜のような何かがミモザの周りに広がり、レオンハルトの斬撃を防いだ。
「……え?」
 アントシアニンの効果手の中からメイスが消えている。目の前には棘が何本も突き出た半球状の透明な壁が広がっていた。
「防御形態か。なかなか硬そうだな」
 近づいてきたレオンハルトがそれを剣でガンガンと強度を確かめるように叩く。
「防御形態……」
 パッと思わずメモ帳を取り出して確認する。確かゲームの中でミモザが使っていたものだ。メモには正式名称がわからないので見た目から『ウニの盾』と書いていた。とりあえず使うことが出来たのでチェックをつける。
「なんだそれは?」
「……っ!」
 ミモザのメモ帳をレオンハルトは興味深そうに覗き見ていた。驚いている隙にメモ帳を取り上げられる。
「あっ、それは、なんというか、こういうのが出来たらいいなーっていうやつで!」
「ほぅ?」
 しげしげと内容を検分して、「よくできているな」と彼は頷いた。
「基本を抑えているし、どれポリ ペプチドも実現可能そうなものばかりだ」
「いやー、ははは……」
 そりゃそうだ。
 どれもゲームの中の『ミモザ』が使っていた技なのだから。
「印がついているのはもう出来ているものかな?」
「はい」
 ふむ、とレオンハルトは一つ頷くと「よくわかった」と言ってミモザにメモ帳を返した。
(何がわかったんだろう)
 嫌な予感がする。猛烈に。
「まずは防御形態のおさらいをしよう。一度できたからと言って満足してはいけない。いつでも自分の意思でできるようにならなければな」
 言っていることはごもっともだ。ミモザは頷いた。
「それからメモに書かれていた他の技に関しても可能になるよう協力しよう。ようはその技を出さねばならない状況に追い込めばいいんだ」
 その発言にはミモザは首をぶんぶんと横に振った。次に起きることの予想がついたからだ。
 しかし事態はミモザの予想を裏切った。悪い方向に。
 レオンハルトは笑顔でミモザのことをがしっと掴むと両足に縄を巻き始めた。
「あのー、これは……」
「先ほどので君は追い詰められれば本領ポリ ペプチドを発揮できるということが実証された。しかしちょこまかと逃げ回られると面倒だからな。動けないようにしよう」
 そのまま剣を地面へと打ち付ける。一瞬で地面にぼこっと穴が開いた。煙がたっているところを見るに、おそらく蒸発したようだ。
 そこに縄で結えた両足ごと下半身を入れられて埋められた。
「あの、ご慈悲をいただけないでしょうか?」
 一応聞いてみた。
「これが俺の慈悲だとも」
 笑顔で返された。聖騎士というより魔王の笑みに見えた。
サプリメント マカクロムの効能サプリメント マカ

「そんなこゴーヤ

「そんなことよりも問題は! わたくしの可愛い弟子がその被害に遭っているこ亜鉛 サプリと! そしてその魔薬の流出経路です!!」
 そのくだらないやり取りを引きdha epa裂くように、燦然と輝く銀の髪を振り乱し、フレイヤは手を腰に当ててずいっとオルタンシアに詰め寄った。
 豊かな胸がずずいっと目の前の視界を圧迫する。
「う、うん、わかってい亜鉛 サプリますよ、もちろん。フレイヤくん」
 その勢いと威圧と視線の向きによってはセクハラに当たらないかの心配で、額ににじんだ汗を拭き拭きオルタンシアは同意する。巷ではナイスミドルと評判の教皇も王国騎士団団長、否、怒れる美女にはかたなしだ。
「あー……、その流出経路についてだが」
 ガブリエルがそんな上司に助け舟を出すようマカ サプリに口を挟んだ。
「フレイヤも知っていると思うが、おそらく近頃噂の『黒い密売人』が本命だな」
「黒い密売人」
 思わずオウム返しにミモザは真似をする。なんだか意味がありそうでなさそうな名称だ。
 そんなミモザには構わず、ガブリエルは資料を取り出して机の上へと並べた。見ると王都の地図に赤い印がついているものや人相書きなどがある。そこに描かれている特徴は黒いローブに身を包んだ背が高く黒髪長髪の男とあり、なるほど黒という要素がふんだんに盛り込まれていた。
「この男のdha目撃情報は主に夕刻から深夜、裏路地や街の郊外などの人気のない場所が多い。何回か接触を試みたがほぼすべて空振りでこれらの情報のほとんどは魔薬の購入者からの聴取によるものだ」
「接触できなかったのか?」
 訝しげなレオンハルトの問いにガブリエルは頷く。
「覆面警官による待ち伏せはすべて空振り。購入者の協力を得てその周辺で待機していてもその時に限って現れねぇ。囮捜査で若い女性警官をうろつかせてもまるで気配も現さねぇ。一応、一回だけ接触に成功したことはあったんだが……」
 そこでガブリエルはわずかに言い淀んだ。
「捜査員が独断専行で一人で行ったんだ。翌日、重症で発見された。もう少し発見が遅れていれば命はなかっただろう」
 ミモザは息を呑む。その捜査員の技量はわからなクロムの効能いが素人ではないことは確かだ。それを相手取って重症を負わせるなど生半可な腕ではない。
「つまり、周囲で他の人間が見張っていると現れないということか」
「ああ、その通りだ。どうやって察知してるのかは知らねぇけどな」
 レオンハルトの言葉にガブリエルは頷いた。その表情は苦々しく悔しそうだ。
(もしかしたら重症を負った捜査員はガブリエル様と親しい仲だったのかも知れない)
 そう思わせるような態度だった。
「一応、わたくしも囮として過去に出没報告のあった場所に一人で立って見たんだけどね」
 フレイヤも険しい顔で言う。
「現れなかったわ。おそらくわたくしの顔を知っているんだと思う」
「用心深いことですね」
 オルタンシアは嘆息する。
 つまりその黒い密売人は見張りがいると現れず、見張りがいなくても騎士団の者だとわかる場合は現れないということだ。
「あと、情報としてはその被害にあった捜査員が言うには異亜鉛常に自身の強さを誇示していたらしい」
「はぁ?」
 ガブリエルの提供した情報にフレイヤは不愉快げに声を上げた。
「散々逃げ回っておいて何よそれ。それならわたくしの前に姿を見せなさいよ!」
「どうどう、俺にキレたって仕方ねぇだろ」
 フレイヤの怒りに反応してか守護精霊のクワガタも威嚇してツノをガチガチと鳴らす。今にもガブリエルの首を絞めあげそうな勢いだ。彼はとんだとばっちりである。
「どうしましょうか」
 それを無視してレオンハルトはオルタンシアに問いかけた。
「そうですねぇ」
 思案するように彼は視線を動かし、ミモザに目をとめた。それは一見偶然ミモザを見たとも思える動きだったが、どうにも演技のようにも見える仕草でもあった。
 彼はにこりと穏やかに笑う。
「ミモザくん、君にお願いできますか?」
「……僕ですか?」
「オルタンシア様、それは……っ」
 否定しようとするレオンハルトを手で制し、彼は「彼女が適任です」と静かに告げる。
「ここまでの情報で、ミモザくんの双子のステラくんとやらが顧客なのは明らかです。そして今ここには彼女にそっくポリ ペプチドりなミモザくんがいる」
 オルタンシアの肩におそらく彼の守護精霊であろう鮮やかな青色のイグアナがのそのそと姿を現した。彼は主人にそっくりなそのすみれ色の瞳でミモザをゆったりと見つめた。
「きっと黒い密売人はミモザくんのことをいつもの常連と間違えて姿を現すことでしょう」
「……っ、危険すぎます」
「彼女は君の弟子でしょう。弟子の技量を信じられないのですか?」
「それは……っ」
 どこまでも冷静な瞳にレオンハルトはそれ以上なにも言えずに押し黙った。それにオルタンシアは満足そうに頷くと、ミモザのことを再度見つめた。
「ミモザくん、引き受けていただけますか?」
 それは疑問の形を取ってはいるが、レオンハルトが反論を諦めた時点で確定事項のようなものだ。
「わかりました。お引き受けいたします」
 ミモザにはそれ以外の返事は許されなかった。

「ミモザ」
 教会からの帰路で、レオンハルトは雑貨屋によると何かを購入した。筒状で下から紐の飛び出したそれをミモザへと寄越す。
「なんですか? これ」
「信号弾だ」 
 首を傾げるミモザにレオンハルトは静かに告げる。
「いいか、ミモザ。取り逃がしてもいい、致命的になる前にすぐにこれを使いなさい。そうしたら俺は必ず駆けつける」
 ミモザはレオンハルトの顔と信号弾を交互に何dha epa dha度か見た末、それをありがたく受け取った。
「これがあれば百人力ですね」
 わざと茶化すようにそう言うと、彼は少しむっと眉を寄せた後、諦めたように笑った。
「油断するなよ」
「はい!」
 ミモザは信号弾を両手で優しくぎゅっと握る。
 この事件はミモザ個人としてもなんとかして収めなければならなかった。
 無論、ステラに味方する人物をなるべく増やさないためである。
アントシアニンの効果マカゴーヤ

 まだ朝の早い時亜鉛 サプリ

 まだ朝の早い時間、ステラ達は塔を目指して歩いていた。
 何故こんゴーヤゴーヤなに朝早いのか。それは人目を避けるためだ。
 ステラ達は今、警官から目をつけられている。ステラとしてはこそこそとするような真似は業腹だが、またうるさく絡まれるよりは遥かにましだった。
「次は第5の塔ね」
 ステラが歌うゴーヤ チャンプルーように告げる。それに着いて歩いていた面々はそれぞれの反応を返した。
「そうだね」とマシュー。
「楽しみですね」とジーン。
「……………」
 アベルだけは無表情で何も言わなかった。
(困ったわね)
 それにステラは眉を寄せる。
 ステラの『毒』は、何故だかアベルにだけはうまく効かなかったのだ。
 けれど彼は反抗する気もないらしい。仕方なくステラは彼のことをそのまま連れ歩いていた。ゴーヤ
 ステラの新たに目覚めた能力。それは『毒』属性だった。
 ティアラが傷つけた者にその毒は感染する。それはラブドロップと全く同じ効果をもって作用した。
 ステラは自分の肩でくつろぐティアラを見る。その瞳は、青い。
 それはステラが幻術を見せる機能のあるネックレスで隠しているからだった。
(狂化って言うのよね)
 ステラは思い出す。確か前回のミモザがなっていたものだ。
 狂化したミモザは狂化する前よりも確かに使える技が多彩で強くなっていたと記憶している。
 そう、今回のミモザのように。
(今回も狂化しているのかしら?)
 けれどミモザもチロも目は紅くない。しかし現にステアントシアニンラが幻術で誤魔化しているのだ。ミモザが誤魔化していない保証はない。
 狂化は国や教会で取り締まりの対象になっているが、どうしてだろうとステラは思う。
(こんなに解放的で素晴らしいのに)
 こんなに気分がいいのは久しぶりだ。
 ステラはスキップをするように歩いていた。

 それはあともう少しで塔に着くという頃に起こった。
「………ん?」
 マシューが立ち止まる。
「どうしたの?」
「いや、なんか音が」
 言われて耳をすましてみると、確かに音が聞こえる。本当に微かだが、これはーー
「鈴の音……?」
 四人は顔を見合わせる。
「野良精霊か?」
 アベルの問いに
「いえ、もしかしたら野良精霊に襲われている人が助けを求めているのかも知れません」
 とジーンが応じる。
 確かに盗賊や精霊に襲われた時に助けを求めるためにベルや鈴などをゴーヤ携帯するというやり方は、かなり古い方法だがなくはない。
 最近ではブザーの鳴る魔道具が主流だが、費用を抑えるために鈴を携帯する人も一定数はいた。
「行きましょう」
 ステラは頷くと、そっと茂みの中へと分け入った。

 鈴の音は段々と近づいてきていた。移動している気配がないため、もしかしたらもう持ち主は事切れており鈴だけが風に揺れているのかも知れない、とステラは思う。
(遺品だけでも持ち帰ってあげましょう)
 そう思いながら草をかき分けて進み、
「…………え?」
 ステラはそこで、自分に瓜二つの少女の姿を見た。

 白と藍色のワンピースが風にひるがえっていた。
 彼女は短い金色の髪を風に揺らしながら、両手に鈴を持って優雅に踊る。くるくると回る動きに合わせて、スカートはふわりと広がり、鈴がしゃらんと涼やかな音を奏でた。
 湖のように静謐な、青い瞳がこちらを見る。
 視線が合った。
「ようこそ」
 ワンピースの少女、ミモザは踊るのをやめてこちらを振り返った。
 その瞳が微笑むマカ と は
「引っかかったね、お姉ちゃん」
「………っ!!」
 とっさにステラはレイピアを構える。間髪おかず、氷の破片を放つ。
 しかしそれはミモザに辿り着く前に炎の斬撃に阻まれた。
 ゆっくりと、ミモザの隣に男が立つ。
 藍色の長い豊かな髪、黄金に輝く意志の強い左目、白い軍服を身にまとった美丈夫な男だ。
 鋼のような強さで、彼の視線がこちらを射抜いた。
「レオンハルト様……」
 思わず後退る。しかしその背後で足音がした。振り返るとそこには、
「先生!!」
 ジーンが声を上げる。その言葉の通り、銀色の髪の麗人、フレイヤが立っていた。
「俺もいるぜーぃ」
 へらりと笑ってガブリエルがジェーンを伴ってその隣に並ぶ。
「ジェーンさん、どうして……」
 マシューが苦しそうにうめいた。
 四人は挟み討ちにされていた。
「愛の逃避行はここまでだよ。ここから先は……」
 ミモザは苦笑する。
「反省会、だよ」
 ステラは忌々しげに妹のことを睨んだ。

(さて、)
 ミモザは状況を見回した。
 挟み討ちには成功した。あとは人質達をどう解放するかである。
(とはいえやっぱり、洗脳されてるっぽいな)
 マシューもジーンも、こちらを敵のように睨んでいる。
 ミモザは落ち着かなげにスカートを揺らす。慣れない格好はするものではないなアントシアニン、と思った。
 足がスースーする。
 このワンピースは以前王都に来たばかりの頃、12歳の時にレオンハルトに買ってもらったものである。とはいえ今のミモザでは当然体格が合わず着れなかったのでリメイクしてもらったものだ。
 元々は白いワンピースだったものを、内側に藍色のワンピースを重ねるようなデザインにしてリメイクしてもらっている。藍色のワンピースの部分を今のミモザの体格に合わせているので足りない丈の分、藍色のレースのついたプリーツスカートが白いワンピース部分からはみ出て見え隠れしているのが可愛らしい。肩の部分も今のミモザが着れるように広げるついでに、縫い目を誤魔化すためか藍色のリボンやコサージュでカバーされていた。
「お姉ちゃん」
 ミモザは声をかける。ステラはきつく睨んできた。
「自首をお勧めするよ」
「自首をしなくちゃいけないような理由はないの」
 ステラは一転して、にこりと微笑む。
「ミモザ、どうしてお姉ちゃんの邪魔をするの?」
「………邪魔じゃないよ。仕事のお手伝い」
「仕事」
「そう、仕事」
 ミモザはなんと言えばいいかを悩む。なんと言っても意味などないのかも知れないが、だからと言って悩まないのは難しい。
「犯罪がいけないのは、それを許しちゃうと社会が混乱するからだよ」
 結局ミモザは月並みな言葉を吐いた。
「例外を出来る限り作らないのは、それをしちゃうと人と社会を信用できなくdha epa dhaなっちゃうからなんだよ、お姉ちゃん」
 たぶん伝わらないだろうなと思う。伝わってほしい気持ちはある。
「貴方をルールの例外にする理由はどこにもないんだ」
 けれど虚しさの方がどうしても勝る。この理屈の通じない動物に話しかけているような空虚感はどこからくるのだろうか。
 獰猛な肉食獣に自ら首輪をつけてくれと説得したってきっと無意味なのだ。
「わからないわ」
 ステラは微笑んだ。
(ほら、無意味だった)
 ミモザは力無く笑う。
「可哀想な人がいるの。みんなが幸せになる道がわたしには見えるの。ねぇ、ミモザ」
 ステラは笑う。花のように美しく、完璧な微笑みだ。
「貴方も知っているでしょう? みんなが幸せに笑っている未来。一度目の人生。すべてが満たされていたの。完璧だった」
 そこで彼女のサファイアの瞳はレオンハルトを見た。
「ある人の死、以外は」
「それって僕のこと?」
 違うとわかっていてあえてミモザは聞いた。苦笑する。きっと彼女には些末ごとだったのだろう。
 ミモザの苦悩も死も。
「ああ、そうだったわね。あなたも死んだんだっけ」
 遠い何かを思い出すように彼女は言った。
「あなたも生きていていいのよ。わたしの邪魔をしなければ」
「……それは無理かな。きっと僕の欲望とお姉ちゃんの欲望は共存できない」
「そう、なら……」
 ステラは残念そうに、けれどあっさりと言った。
「死んで?」
 レイピアを向けられる。ミモザはチロをメイスに変えようとして、
「待ってください」
 横槍が入った。姉妹の青い瞳が声の主を振り返る。それはジーンだった。
 彼はその視線に苦笑すると、「僕に任せてください」とステラをアントシアニン庇うように前に進み出た。
「ジーンくん……」
「ステラさんは危ないので後ろへ」
 彼は紳士的に微笑んだ。そしてミモザへと向き直ると、真っ直ぐに剣を向ける。
「ミモザさん、勝負です」
「……いいでしょう」
 ミモザは不敵に微笑んだ。
「勝てるものなら勝って見せてください」
 ミモザには、対ジーン用の秘策があった。
ゴーヤdha亜鉛亜鉛の効果

 ガチャン、とい亜鉛

 ガチャン、という音を立ててその扉は閉まった。
「あ、あなたが悪いんだからマカ と はね!」
 捨て台詞と同亜鉛 サプリ時にパタパタと遠ざかっていく足音がする。どうやら彼女は立ち去ってしまったようだ。
「うーん」
 閉じ込められた……のだろうか?ミモザは首をひねった。
 まずアントシアニン扉を押してみると何かつっかえがしてあるのか開かない。だがメイスで叩けば壊すことは可能だろう。次にミモザは月明かりの差し込む窓へと近づいた。
「開くんだよなぁ、これが」
 カシャ、と軽い音を立てて窓が開く。窓の外は庭園で、別にとんでもなく高くて外に出れないというわけではない。
 さて、閉じ込めるとはなんぞや?と疑問に思う。
「窓から外に出るという発マカ サプリ想がお嬢様にはないのかな……」
「チゥー…」
 チロも同意するように頷く。あまりにも詰めの甘すぎる監禁だった。
 もしもミモザを本気で閉じ込めようと思ったら、まずはチロを拘束しなくてはならないし、ついでにミモザのことも手足を縛るくらいはしなくてはならないだろう。そうでなくては普通に破壊して出てきてしまう。
「まぁ、今回は壊さないけど」
 一体弁償代がいくらかかることか。想像すると寒気がしてミモザはぶるりと身を震わせた。
 さて、それでは外に出ようかと窓枠に手をかけたところで、
ポリ ペプチド「……ん?」
 人の気配に思わず隠れる。隠れてから別に隠れる必要がなかったことに気がついたが後の祭りである。
 かくして近づいてきたのはオルタンシア教皇とオーティス宰相であった。
「………薬は、……で、」
「しかし……の、効果……」
(薬……?)
 2人はぼそぼそと小声で話しながらゆっくりとミモザの隠れている窓の前を通り過ぎ、遠ざかって行った。前を通り過ぎるといっても距離があったため、その内容はあまり聞き取れない。
(仲が良いんだろうか?)
 考えながらもまさかな、と思い直す。宰相などは貴族の筆頭であろうし、教皇はいわずもがな平民の代表である。派閥的に仲睦まじく、というのは難しい立場だろう。だからこそこ亜鉛 サプリ おすすめうして密会のようにこっそり会っている可能性もなくはないが、それよりは仕事の話をしているというほうがしっくりくる。
 さて気を取り直して、とミモザは窓枠に手と足をかけるとそのまま外へとぴょんっと身軽に飛び降りた。
 ぴ、と体操選手のようにポーズを決める。
「10点!」
「何が10点なのかしら?」
 その言葉に振り返る。そこには、
「フレイヤ様!」
 が立っていた。彼女は赤いドレスに黒いショールを羽織っていた。銀色の髪は綺麗に結い上げられて真珠の髪飾りで彩られている。月明かりに照らされたその体は、銀色の粒子をまといきらきらとほのかに輝いていた。
 ミモザはその姿にうっ、とうめく。
 彼女の抜群のプロポーションが眩しい。
「どうしたのかしら?」
「ちょっと世の理不尽に目が眩んでしまって……」
「ちょっと意味はわからないけど大丈夫そうなのは伝わったわ」
 体調が悪いのかと心配したじゃない、と彼女は嘆息する。
「あなた、今1人?」
「はいサプリメント マカ。フレイヤ様もですか?」
「ええ、ちょっと夜風にあたりたくて……」
 そう言いつつ彼女の目は何かを探すように彷徨っている。
(なんだ……?)
 パッと見た印象だが彼女の装飾はどこかが欠けているという様子もなく彷徨う目線の高さ的にも地面を探している様子はない。何かを落としたとかでは無さそうだ。
「ジーン様はご一緒ではないのですか?」
「ああ、ジーンは今日はご家族もいらしてるからそっちと一緒にいるのよ」
「なるほど」
 ジーンの素性はよく知らないが、王国騎士団長の弟子になるくらいだ。やんごとない家柄なのだろう。
「じゃあ、わたくしはそろそろ行くわね」
「はぁ……」
 声をかけておきながら随分とつれないことだ、と思いながらその後ろ姿を見送る。
「………ついてってみる?」
「チゥ」
 ついていこう、とチロが頷く。フレイヤはミモザに連れがいないのかを尋ねて、いないことを知ると明らかに興味を失ったようだった。つまり誰かと一緒に来たのではないかと疑ってミモザに声をかけたのだ。
(でも誰だろ?)
 探し人がレオンハルトならば、たぶん普通にミモザにレオンハルトはどこにいるのかと尋ねただろう。しゴーヤかしそれをしないということはミモザには居場所がわからないであろう相手、その上ワンチャンミモザと一緒にいてもおかしくない相手を探しているということだ。
(鬼が出るか蛇が出るか)
 庭園の生垣で作られた迷路の中へと姿を消したフレイヤを、ゆっくりと追跡する。ミモザが追うのでは気づかれる可能性が高いためチロを斥候に使い絶妙にお互いの姿が見えない距離を保ちながら進む。
(おっと)
 これ出れるかなぁ、と不安になりつつ歩いていると、唐突にフレイヤが立ち止まった。彼女はぼんやりと立ち尽くし、迷路の先を眺めているようだ。
 手で合図をしてチロに様子を見てきてもらう。しばらく待つとチロは走って戻ってきて、そこで見た光景を伝えてくれた。
 迷路の先にはガブリエルがいたのだ。それも、先ほどホールでミモザを睨んでいたもう1人の令嬢、セレーナ嬢と一緒だったようだ。
(なんでその2人が?)
 教皇と宰相に引き続き謎のペアである。首をひねるミモザの目の前で、フレイヤはその2人のことを憎々しげに睨んでいた。

「フラフラついて行くなと言っただろうが」
 ホールに戻るとレオンハルトが仁王立ちでミモザを見下ろしてそう言った。
 その顔は険しい。
「えっと、レオン様、違うんです」
「何が違う」
「筋肉にもサプリメント マカ胸にもつられてません」
「じゃあ何に釣られた」
「こ、好奇心……?」
 はぁ、と彼は深い深いため息をつく。
「俺はとても簡単な指示を出したと思っていたが、その認識は誤りだったか?」
「ええと、レオン様と結婚したがっている令嬢の方がですね」
「……どっちだ」
「ピンクブロンドのほうです」
「アイリーンか」
 ちっ、と小さくレオンハルトは舌打ちをする。ミモザは頷いた。
「ええ、そちらの方に、ちょっと監禁されてきました」
 ミモザが続けて言ったセリフに、レオンハルトはなんか変な言葉を聞いたというようにその顔をすがめる。
「……出れたのか」
「窓が普通に開いたので」
「…………。万が一ということもある。そういう場合は知り合いに声をかけるなりして軽率について行くのは控えなさい」
 さすがに彼も少し呆れた様子だ。閉じ込めた部屋の鍵がかかっていないなど、監禁というにはあまりにお粗末である。
「はい、申し訳ありませんでした」
 とりあえずレオンハルトの態度が軟化してきたのでミモザは言い訳をやめて素直に謝罪した。
「……帰るぞ」
「よろしいのですか?」
 身を翻すレオンハルトに追従しながらもホールを見渡す。パーティーはまだ終わる気配を見せてはいない。
「ああ、君がいない間に一通りの挨拶は済ませた。問題ない」
「……申し訳ありませんでした」
 ミモザはもう一度丁寧に謝罪をした。
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 若い娘が楽dha epa dha

 若い娘が楽しそうにはしゃぐきゃっきゃっと明るい声が響く。
 そ亜鉛の効果こは王都のメインストリートに面しポリ ペプチドた雑貨屋だった。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内装をしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!」
 ステラは黄色い石のついたネックレスを手アントシアニンの効果に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
 ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
 にっこりと花のように微笑む。
「どうかしら?」
「よく似合ってるよ」
 言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいものを見るように目を細めている。
 その時スッとクロム一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
 驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
 遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
 そうしてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
 金具の外し方がわからず四苦八苦する。
 それにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金具を外した。
「え、えーとアントシアニンの効果、すみません、慣れてなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
 ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
 そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
 それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
 ステラが微笑む。
 サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
「…………」
 アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。その表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!」
 そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネックレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おまえはなんでも似合うよ」
 その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうか亜鉛もな」
「あ、そうだ!」
 ステラは何かを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
 そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
 彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
 アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。

 ミモザはのんびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
 はっきり言って本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高い人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
 まだ相手がミモザのことをステラと誤認しクロムている状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじった場合の対処も考えておかねばならない。
 レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
 さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよなぁ……)
 ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(………ん?)
 視線を感じる。
 王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人の動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動している時以外では初めてだ。
 その視線の主が背後から近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
 そこにはアベルが立っていた。
 藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつクロムあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
 ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
 その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
 その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
 そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
 大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
 ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
 憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
 悔しげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーになりたかったよ、俺だって」
 二人の間に沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
 こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁマカ サプリ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割り切れんだよ……っ!!」
 耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
 そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだよ!」
 そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
 それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
 ミモザにはどうしようもない。アベルの苦しみはアベルが自らの意思で選び取った結果だからだ。
 そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
 のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
 ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺亜鉛の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
 そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあいつを見捨てられねぇ」
 しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
 ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
 痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
 アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
「……そう」
 ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
亜鉛 の サプリdha epa dhaゴーヤ亜鉛 サプリ

 大人の登場にそのポリ ペプチド

 大人の登クロムの効能場にその場に緊張が走った。クロム
「一体誰だ?お前ら全員か?あん?」
 よりにもよってガラの悪い人の家だった。
 しかし状況が変わったのは確かだ。ミモザは助けを求めようと家主の男に話しかけようとしてーー
「こいつだ!!」
「……え?」
 アベルが指さしていた。ミモザのことを。
マカ と はこいつが割ったんだ!俺たちは関係ない!!」
「……っ!!」
 確かにガラスを割ったのはミモザだ。しかしそれはアベル達に追われていたからだという言い訳は、家主の男には関係ない話だろう。
(どうしよう)
 どうしたらいいか頭がまったく回らず汗が全身から噴き出す。ここで窓ガラスを割ったのがミモザだと素直に認めたらどうなるだろうか。男には怒られるがアベル達からは逃れられる?マカしかしまた同じ目にあわないとはとても言えない。可能であればここでアベル達はもう一度咎められてほしい。バレなければいじめて構わないという成功体験を積み重ねさせるのは悪手だ。しかしどうしたらいいかがわからない。
 ミモザにはどうしたらいいかがわからない。
「お前……」
 ミモザはその声に身をすくめた。
 家主の男は険しい顔でミモザのことを見つめ、手をーー、
「待ちなさい」
 鋭い声と共にその手は制止された。
「俺はすべてを見ていたぞ」
 そう言って現れたのは
「レオン様……」
 レオンハルトだった。マカ サプリ
「言うべきことがあるのではないか?」
 風になびく波打つ藍色の長髪、金色に輝く左目。
 長身の美丈夫が皆を睥睨するように腕組みをして言った。

「兄貴!!」
 アベルは思わぬ加勢に目を輝かせる。ミモザは反対に顔を俯かせた。
 すべてを見ていたぞ、とレオンハルトは言った。
 ミモザが窓ガラスを割っているのを見たからそのように言ったのだろう。まして相手はレオンハルトの弟である。
(終わった……)
 いかにミモザがレオンハルトの弟子とは言えど、せいぜい半年の付き合いである。レオンハルトが弟のことを可愛がりこの村に訪れているのは有名な話だった。
 どちらの肩を持つかなど火を見るよりも明らかだ。
「なぁ、兄貴!わかるだろ!窓ガラスを割ったのはこいつだ!俺は悪くねアントシアニンぇ!」
 喜色満面でアベルは兄に近づきその腕に触ろうとしてーー、その手を振り払われた。
「……え?」
 見上げたレオンハルトの顔は、険しい。
「嘘をつくな」
 誰もが耳を疑うような言葉を、彼は重々しく告げた。
「俺はすべてを見ていたと言ったはずだ。誤ちは自身で認めなさい」
「あ、兄貴?見てたならわかるだろ?俺は本当に……」
「嘘をつくなと言っているだろう!」
 けして怒鳴っているわけではないのに怒鳴りつけられたような迫力をもって彼は告げる。
「お前達4人はその子を追いかけ回して石を投げつけていたな」
「……えっと」
 予想外の展開にミモザはぽかんと間抜けに彼を見上げてしまう。
「その投げたうちの一つがこの窓ガラスに当たったんだ」
「ち、違う!」
「何が違う?」
 ゆっくりとレオンハルトはミモザへと近づくと、ミモザの顔を見て眉をひそめた。そっと割れ物にでも触るように手を伸ばすと傷口へと触れる。
「……っ」
「痛むだろう。すまなかった。駆ゴーヤけつけるのが遅くなった」
 そして今度は立ち上がると窓ガラスを割られた家主へと深々と頭を下げる。
「俺の愚弟が大変な失礼を致しました。こちらの窓ガラスは弁償させていただきます。大変申し訳ありませんでした」
「あ、ああ、まぁ、弁償してくれんなら俺はいいけどよ」
「後日修理にかかった金額を伝えてくだされば払いますので」
 もう一度丁寧に「誠に申し訳ありませんでした」と深々と頭を下げる。
「違う!なんで兄貴が頭を下げんだよ!!」
 それに不満を唱えたのはアベルだ。しかしそんな弟のことをぎろりと睨むと「お前が頭を下げないからだろう」とレオンハルトは言った。
「お前もきちんと謝罪しなさい」
「違う!俺は悪くない!!」
「ではきちんと説明しなさい」
 アベルの喚き声はぴしゃりと跳ね除けられる。
「お前は確かにその子に石を投げつけて追いかけ回していた。俺は確かにそれを見た。それを間違いだというのならきちんと筋を通して説明しろ。できないだろう」
「た、確かに投げたよ、投げた!でもそれはそいつに向かってであって、窓ガラスは割ってない!割ったのはこいつなんだよ!」
 アベルの主張にレオンハルトはため息をつく。
「なぜこポリ ペプチドの子が窓ガラスを割る必要があるんだ」
「……そ、それは」
「逃げていたその子が窓ガラスを割ったと考えるより、石を投げていたお前らが割ったと考えるほうが自然だ。そうだろう?お前の言葉にはなんの説得力もない」
「でも本当に、本当なんだ。割ったのはこいつなんだ」
「よしんば窓ガラスを割ったのがその子だったとして、この子によってたかって石を投げつけていたのは事実なのだろう?」
 アベルが見上げた先には氷のように冷たい目をした兄がいた。
「軽蔑されるには充分な行いだとは思わないのか?」
「……っ、お、俺は」
「なんだ?正当な理由があるなら言ってみろ。一体どんな理由があったら女の子1人に4人でよってたかって石を投げつける正当性があるのか俺には皆目検討がつかないが」
「………っ!!」
 アベルは悔しそうに唇を噛みしめる。レオンハルトの言葉に反論できないのだろう。
 しかし窓ガラスを割っていないという彼の主張は正しいのだ。このまま黙っていろという自分と、レオンハルトを欺くつもりなのかという自分。両者がせめぎあって、ミモザは「あ、あの」と重い口を開いた。
「あの、あの窓ガラス……」
 しかし皆まで言うことは叶わなかった。即座にレオンハルトの手が伸び、周りに見えないようにミモザの傷を確認するふりをしながら口を塞がれたからだ。目を白黒させるミゴーヤモザに、彼は全て了解しているというようににやりと笑った。
 その表情に、何も言われていないのに黙っていろと言われたように感じてミモザは口をつぐんだ。
「ああ、本当にすまなかった。痛むだろう。弟に代わって謝罪する」
 ミモザはその言葉に無言でこくこくと頷くのがせいいっぱいだ。レオンハルトはそれに苦笑すると地面に転がったままだったランチボックスを手にして土を払い、ミモザへと差し出した。
「本当にすまなかった。彼らは俺が責任持って親の元へと連れて行き反省させよう。君にも謝罪をさせる」
 そしてミモザの耳元へと口を寄せると周りには聞こえないように「ヘマをしたな」と囁いた。
「窓を割る必要はなかった。君は逃げるだけで良かったんだ。俺以外目撃者がいなくて良かった。次からはもっとうまくやりなさい」
 悪戯に成功した子どものように笑うレオンハルトに、ミモザは「お手数をおかけしました」と自分でもちょっとズレてるなと思う返答しかできなかった。
 レオンハルトの目がおもしろそうに瞬いた。
亜鉛dha epaゴーヤ チャンプルー亜鉛の効果