それが起こっクロム

 それが起こったのは、ある意味必亜鉛然でdha epa dhaあったのかも知れない。なにせ予兆はあり過ぎるほどにあった。
 しかしすべての災難は最悪なことに同時に訪れたのだ。
「どういうことです?」
「その亜鉛 の サプリままですよ。困ったことになりました」
 連絡を受けてかけつけたレオンハルトとミモザに、沈痛そうに額に手を当ててオルタンシアは言った。
「立てこもり事件と野良精霊の大量発生が同時に起きました」
 息を飲む。二の句が継げないミモザに代わり、レオンハルトは「立てこもり事件というのは?」と尋ねた。それに教皇は無言である手紙を差し出す。それ亜鉛 サプリ おすすめはとても丁寧な犯行声明であった。

『第4の塔に長期滞在致します。大人7名、子ども3名、計10名にて実施いたします。試練の塔被害者遺族の会』

「閉鎖しないのならば立てこもりを止める権利はない、といいたいのでしょう。まぁ実際、入場資格のある者が何日間滞在しようと規制するルールは存在しません」
「いや、大人はともかく子どもはだめってルールだったはずでしょう」
 ガブリエルがうめく。それにオルタンシアは力なく首を横に振った。
「入場管理を担っている人間を脅しつけて無理矢理入ったようです。ゴーヤ厄介なのはここで彼らに死者でも出ようものならこちらの管理責任が問われることです」
「なぜ急にやり方を変えたのでしょう?」
 フレイヤが尋ねる。確かに、コラムを書いて人々の同情を引こうという最初の手段からは、随分とかけ離れた強引な方法であった。
「先日の…、レオンハルト君の件が効いているのかも知れません。彼女はレオンハルト君を取り込むのに失敗しましたから」
「それにしてもあまりにも手段のベクトルが違いすぎる」
 レオンハルトの訝るような言葉にミモザも無言で頷いた。最初の戦略はなんとも慎重で自分たちに利があるように上手く立ち回っている印象だったが、今回の件はあまりに強引すぎておそらく被害者遺族の会に世間はマイナゴーヤスのイメージしか抱かないだろう。
「仲間割れ、でしょうか?」
 首をひねるミモザに、レオンハルトは「そうだな」と思案した。
「少なくともジェーンを影で操ろうという人間が2人以上はいるのかもしれない。彼らはそれぞれ意思の連携ができていないか、片方が功を焦りすぎたか」
「どちらにしろ重要なのは、このような自分自身を人質として盾にするようなテロリズムに我々は屈するわけにはいかないということと……」
 オルタンシアは首を振る。
「野良精霊の討伐のほうが優先事項であるということです」
 確かに自らの意思で危険に飛び込んだ者と、なんの落ち度もないのに危ない目に遭いそうな者ならば、後者が優先して守られるべきだろう。
「野良精霊の方に王国騎士団、塔の方に教会騎士団で分担してーー」
「というわけにもいかないのです」
 オルタンシアは眉間を押さえる。
「現在だけでも野良精霊の被害が10ヶ所以上で報告ゴーヤされていて数は増える一方です。両騎士団一斉にことにあたっても被害をすべて食い止められるかどうか……」
 レオンハルトも難しい顔で腕を組んで考え込んでいる。ミモザはちらりと教皇の執務机の上を覗き見た。王都周辺の地図に赤い印がばらばらと点在している。これら全てが野良精霊の大量発生箇所だとしたら、確かにとても人手が足りないだろう。
「ミモザ君、行ってくれませんか?」
 ふいに声が響いた。オルタンシアからの急な名指しにびくりと震える。
「え?」
 その顔をまじまじと見つめるが、彼は真剣な表情を崩さない。
「両騎士団長は指示を出さねばなりませんから言わずもがな、レオンハルト君の戦力は野良精霊の方に必要ですし、英雄がテロリストの命を優先することははばかられます。しかし彼らを放置するわけにはいかない。ですから塔の方はミモザ君、君に任せられませんか?」
「……それしかないか」
 レオンハルトも難しい顔でそれに同意した。
「ミモザ、別に解決する必要はない。ただすべてを片付けて俺が駆けつけるまでの時間を稼いでくれ。第4の塔ならばお前の実力でなんとかなるだろう」
「はぁ、わかりました」
 マカつまりミモザは彼らの用心棒をして待っていればいいのだろう。いくら塔の中が危ないとはいえ試練に挑むわけではない。能動的に動かなければ危険も少ないはずだ。
「それなら、僕も行きます」
 手を挙げたのは爽やか少年ことジーンだった。
「戦力は多いに越したことはないでしょう」
(うーん…)
 その言葉にミモザはレオンハルトの顔を見る。彼は無言で首を横に振った。薄々わかってはいたが、どうやらレオンハルトは基本的に教会寄りのスタンスらしい。
「申し訳ありませんが……」
 案の定、オルタンシアは申し訳なさそうに首を振る。
「なぜですか!」
「塔の一度に入れる入場人数には制限があるのです。第4の塔は12人が上限です。これは我々が決めたものではなく塔がそれ以上の人数を拒絶するのです」
「なら僕もぎりぎり…」
「1人は連絡役に残しておきたいのです。中の状況が全く確認できなくなるのは困りますし、必要に応じて物資なども運ぶ必要が出るかも知れません」
 ジーンは悔しそうに歯噛みした。
 嘘ではないだろうがそれだけが理由ではないだろう。塔は教会の管理である。ミモザは教会寄りのレオンハルトの弟子だからいいのだろうが、王国騎士団団長の弟子の手を借りたくはないのだろう。それは国に借りを作ることと同義であるし、下手をすれば塔の管理について余計な横やりを入れらゴーヤ チャンプルーれかねない。
 塔は金の卵を産む鶏のようなものだ。そのほとんどが塔の管理と維持費に消えるにしてもそこそこの収益にはなっているだろうし、なにより教会としては宗教的価値のある塔の利権を手放したくはないだろう。
「では、ジーンを連絡役にしましょう」
 その時フレイヤが強い口調で提言をした。王国騎士団側としてもこのような機会は見過ごせないらしい。
「ジーンならばいざとなればミモザちゃんと協力して戦えますし、王国騎士団に所属しているわけでもない。適任ですわ」
 名案と言わんばかりに花のようににっこりと笑うフレイヤに、そこが落とし所と考えたのだろう、オルタンシアは「では、お願いしましょうか」と苦笑した。
「ただし、君はあくまで連絡役です。それ以上のことは越権行為ですよ」としっかりと釘を刺すことは忘れなかったのはさすがである。
ゴーヤゴーヤアントシアニン

 その後は仕亜鉛 サプリ おすすめ

 その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルトとアズレンの会話を亜鉛 サプリ おすすめ聞くのみであった。話題にはやはり野良精霊の異常増殖と亜鉛 サプリ狂化の件がのぼったが、現在は小康状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明であること、そして人為的に引き起こされていることは状況証拠的にほぼ確定であることがやり取りの中で明かされた。
 ゴーヤ最後に「では期待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
 そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人の間には今、
「……えっと、お食事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
 微妙な空気が流れていた。
 原因は明白だ。
(好みサプリメント マカのタイプ聞かれてとっさにレオン様の名前出しちゃったからなぁ)
 ミモザはぼんやりと斜め上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
 レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)
 謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそのこと一発殴ってくれた亜鉛の効果ほうが謝りやすいまである。
「ええっと、」
「君は」
 そこでやっとレオンハルトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げる。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
 思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
 恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
 強い口調に身をすくめる。ちらりと彼を見るとその目は据わっていた。
「それは、クロムやめなさい」
「……はい」
「俺でいい」
 ふい、とまた顔ごと背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名は、俺でいい」
「……わかりました」
 本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
 再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
 見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
 レオンハルトからグラスを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思いついたように足をサプリメント マカ止め振り返ると「筋肉とか胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
 極めて遺憾である。

「ねぇ、あなた」
 レオンハルトがお手洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
 ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
 とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
 ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
亜鉛 サプリ おすすめマカ と はゴーヤ

 その後のレオンゴーヤ

 その後のレオンハルトの行動は迅速だった。すぐに4人とミモザを引き連れてそれぞれの家へ亜鉛と向かい事情亜鉛 サプリ おすすめを説明し、主犯が自らの弟であることをアベルの取り巻きの家族へと謝罪した。そしてまだミモザへの謝罪は行われておらず、反省の意思が低いことを伝え、よくよく指導アントシアニンの効果してくれるように、といい含めた。
 それぞれのご家族は二度目だったこともあり、恐縮した様子でミモザに謝ってくれた。
 そうして1人ずつ家へと帰していき、最後はアベルを残すのみとなった。ミモザとレオンハルトとアベルというなんとも微妙な組み合わせで家を訪ねる。
 アベルの家とミモザの家はなんとお隣亜鉛の効果同士である。隣といっても田舎あるあるでものすごく遠く、畑と牧場を挟んだ上での隣である。まぁ、それでも隣は隣である。
 ミモザの家は村の一番西端にある。その手前がアベルの家である。さわやかな空色の屋根にクリーム色の壁。庭には家庭菜園と色とりどりの花が咲き誇る美しい家である。庭の手入れがよくされているのが見ただけでわかる。
 レオンハルトは終始渋っていたアベルの腕を掴んで引きずるようにしながら、その家の扉をノックした。
「はーい、どなた?」
 凛とした明るい声がする。おそらくクロム彼女はアベルが学校から帰るのを待っていたのだろう。エプロンをつけて昼食の香りをただよわせながら玄関に出た。
 明るい橙色の髪に理知的な青い瞳。髪を編み込んでお団子に結い上げた美しい女性だ。
 その普段は明るい表情が、来客のただならぬ様子を見て曇る。
「レオンくんとミモザちゃん?一体どうしたのかしら?」
「カーラさん、このような形になってしまって申し訳ない。大事な話があってきました」
 そう丁寧な口調で告げると、レオンハルトはアベルのことを地面に跪かせるようにカーラの前へと投げ出した。
「アベル……?あんた……」
「母さん、違うんだ、俺……っ」
「アベルがミモザくんのことを傷つけました」
 その言葉にハッと彼女はレオンハルトのことを見上げ、つい亜鉛 の サプリでミモザの顔の傷を見て取ったのか表情を歪めた。
「友人3人とともに彼女を取り囲んで石を投げつけ、髪を引きちぎるという暴行を加えたようです」
「……なっ!?」
「違う!」
 思わず反射で叫んだのであろうアベルを、レオンハルトとカーラ、計3つの目が見下ろす。
「何が違うんだ、言ってみろ」
「お、俺は、別に!暴行だなんて……、そんなつもりじゃ……」
 その視線に怯んだのかアベルはもごもごとそれより先の言葉は続けられず言いごもる。
 レオンハルトの深いため息に、アベルは身を震わせた。
「じゃあどんなつもりだったと言うんだ。まさかその行為で彼女が喜ぶと思っていたわけでもあるまい」
「それは、だって…っ」
「だって、なんだ?お前は明確な悪意を持って、彼女に危害を加えた。どんな言い訳を並べ立てたとて、その事実は揺るぎない」
 アベルは顔を真っ赤に染め、耐えきれなかったように叫んだ。
「それはこいつが生意気……っ!」
「もうやめて……っ!!」
 しかしそれは別のマカ サプリ悲鳴じみた声に遮られた。見るとカーラは苦しむように頭を抱え、俯いている。その目からはぽたり、ぽたりと涙がこぼれ落ちていた。
「もう、やめて……」
「母さん……」
「やっぱり血は争えないのかしら」
 その目は失望感に満ち、遠くを見つめている。
「それを言われては俺の立つ瀬もありませんが」
 苦笑しながら言われた言葉にカーラは弾かれたように顔を上げる。
「ごめんね、レオンくん。そんなつもりじゃ……」
「いえ、わかっていますよ。大丈夫です」
 どうやら2人にしかわからない話があるらしい。カーラは気を取り直すようにアベルを見ると、その前に膝をつき目線を合わせた。
「アベル、ねぇ、アベル。なんでこんなことをするの。前回の時あんた反省したって言ってたじゃない。嘘だったの?」
「それは……」
「あんた母さんにも先生にもミモザちゃんにも嘘をついたの」
「嘘をついてるのはミモザだ。俺は窓ガラスは割ってない!」
「あんた、何言ってるの」
 アベルの決死の叫びに、しかしカーラは目を見張った。
「誰が窓ガラスの話なんてしたの。ミモザちゃんに怪我をさせた話をしてるのよ」
「……っ」
 アベルは唇亜鉛 サプリを噛みしめる。カーラはそんな息子の様子に力無く首を振った。
「アベル、わたしはね、もしあなたがミモザちゃんと同じ目に合わされたらそれをした相手が憎いわ。死んでしまえばいいとさえ思うかもしれない」
「……っ!?」
「あんたのしたことはそういう行為よ。そういう最低なことなの。わからないの?」
 カーラはアベルの肩を掴む。その瞳には焦燥があった。
「ねぇ、わからないの?アベル」
「……母さん」
「わたしはもう、あなたがわからないわ。一生懸命育ててきたつもりだった。愛情を持って、真っ直ぐ生きてくれたらと。でももうわからないのアベル。どうしたらいいのかがわからない。あんた、一体どうしたらまともになってくれるの?」
「か、母さん!」
「カーラさん」
 そっと、レオンハルトはカーラの背中を慰めるようにさすった。そして残酷に言い放つ。
「アベルはおそらく病気です」
「お、俺!病気なんかじゃ……」
「普通の健常の人間は理由もなく暴力を振るったりなどしない。それは明らかに異常な行為だよ、アベル。
風邪を引いたら医者にかかるように、今回の件も専門家を頼るべきだと俺は思います。カウンセリングを受けさせましょう。更生のために。いい先生を探します」
「……レオンくん」
 不安げに見上げるカーラに、レオアントシアニンンハルトは力強く頷いてみせた。
「アベル自身の将来もですが、これ以上被害者を出さないことを第一に考えるべきでしょう」
「それは、入院させるってことかしら?」
 アベルは息を呑む。しかしレオンハルトは首を横に振った。
「それは最終手段です。まずは通院でいいでしょう。それでどうしようもないなら入院させるしかありませんが。学校側に協力を仰いでアベルが暴力的な衝動を抑えられない様子がないかどうかなど見張ってもらいましょう。こう言ったことはちゃんと環境を整えて徹底的にやらないといけない」
 そこでアベルへと向き直る。
「アベル。お前もいいね。お前に治療の意思がなければどうにもならん。苦しいとは思うが俺も協力を惜しむつもりはない」
「俺、病気じゃないよ」
 アベルは途方にくれたように言った。自分の意思に反して進んでいく話についていけないのだ。
 しかしレオンハルトはその言葉を言い逃れと捉えたのか追撃の手を緩めなかった。
「ではお前は正常な状態にも関わらずなんの罪悪感もなしに暴力を振るったということになる。そちらの方がよほど悪い。そうなのか?アベル。お前は生まれつき暴力的な行為が好きな人間なのか?」
 問われてアベルは力無く首を横に振った。もう何も言えない様子だった。それに対してレオンハルトはやっと態度を軟化し優しく微笑み、なぐさめるように肩を叩く。
「まずは自分が異常な行動を取っていること、それを自覚するところから始めよう。大丈夫。必ず良くなる。そうすれば心の底から申し訳ないことをしたとちゃんマカと反省し、謝罪することができるようになるだろう」
 アベルは操られた人形のように無気力に首を縦に振った。レオンハルトもそれに同意するようにしっかりと頷き返す。
「頑張っていこうな」
 そして立ち上がるとミモザの隣へと移動し「じゃあカーラさん。俺はミモザくんを家に送ってご家族に謝罪をしてきますので」と告げた。
 それにカーラは焦ったようにエプロンを外しながら「わたしとアベルも一緒に……」と身を乗り出す。
 しかしその言葉をレオンハルトは手で制し、首を横に振ることで断った。
「今のアベルの様子では謝罪などしても上べだけになってしまうでしょう。それでは先方にかえって失礼だ。まずは俺1人で謝罪に伺います。カーラさんはアベルのことをよろしくお願いします」
「……ごめんね、迷惑をかけちゃって」
「なにを言うんです。家族でしょう。俺はそのつもりでしたが違いましたか?」
 カーラはその言葉を噛みしめるように俯いた。
「いいえ、違わないわ、ありがとう」
 そしてミモザへと向き合う。その瞳はもういつもの理知的な光が戻ってきていた。
「ミモザちゃん、本当にごめんなさい。きちんとアベルのことは更生させます。あなたにも近づかせないようにするからね。本当にごめんなさい」
 あまりにとんとん拍子に進む急転直下の状況に、ほぼ空気と化して流れを見ていただけだったミモザは首をぶんぶんと横に振ることしかできなかった。
クロムの効能亜鉛 サプリサプリメント マカ亜鉛 の サプリ

(全然心配する必要ゴーヤ

(全然心配する必要がなかった)
 ゲームの中ボスを倒してしまっ亜鉛た。ゲームの展開が変わったらどうしよう。なんかおかわりがいっぱい来dha epa dhaた。今ここである。
「……っ、逃げよう!!」
 チロもさすがにこれには同意なのか素早くミモザの肩へと駆け登った。
 そのままとにかく走る。幸いなことに走る速度はミモザの方が速いようだ。
 しかし重要な問題があマカった。
(逃げるってどこに?)
 普通の野良精霊ならば村でいい。大人達が大人数でかかればよくいるうさぎ型や犬型の野良精霊は簡単に始末できるだろう。しかし相手は狂化個体である。しかもおそらく本来ならこんな人里には来ないような森の奥深くに生息しているはずの熊型だ。
(これ、村に行ったらまずいんじゃないか)
 今更ながらに気づく。このままでは村が危ない。
 別にミモザのことをいゴーヤ チャンプルーじめた連中やその他の仲良くもない奴らが死んだところでミモザは困らない。その程度に薄情な人間な自覚はある。けれど村には、
(ママがいる)
 母親が危険にさらされるかも知れない。ミモザにとってそれだけは避けたい事態だった。あとついでに姉もだ。復讐の前に死なれては寝覚めが悪い。
(いやもしかしたらお姉ちゃんならなんとかなるのかも知れない)
 それこそ主人公補正やらなにやらでだ。
(しかしそれはそれで腹が立つ)
 ミモザは立ち止まった。そして振り返ってチロに手を伸ばす。
「チー」
 チロは心配クロムの効能そうにしながらも、その身をメイスへと変えてくれた。
「ごめんね、チロ」
 謝ってメイスを構える。
 目の前にはもう熊の群れが押し寄せて来ていた。
「けど、譲れないこともある」
 意識を集中させる。あの熊は硬い。骨や皮のある部分は狙うべきではない。狙うなら口か目だ。
(こんなに大勢かー)
 ミモザはこれまでメイスの棘を同時に1本しか伸ばすことに成功していない。しかしゲームの中のミモザはそれこそ変幻自在に複数の棘を同時に伸縮して槍のように扱っていた。
(できるはずだ)
 ゲームのミモザができていたのだから。
 姉に無様に負ける出来損ないにもできていたのだから。
「できなきゃダメだ!!」
 メイスの柄の部分を地面に突き立てる。そして棘の部分はーー、
 全てあらぬ方向へと伸びた。ゴーヤ
 うちの何本かは幸運なことに熊の方へと向かいその目を差し貫く。しかしせいぜいが2.3匹程度で仕留められたのは正面にいた1匹だけだ。
(もう一度っ!)
 棘を引っ込めて後退りし距離を取る。近づき過ぎれば仕留められるのはミモザの方だ。
 複数の棘を同時に伸ばすことには成功した。次はコントロールだ。
「いけ!」
 もう一度伸ばす。今度は前方の棘だけを伸ばすことに成功したが、まったく熊の目には刺さらず分厚い毛皮と骨に遮られる。
(おかしいな)
 そこでやっとミモザは気づく。攻撃が通らなさすぎる。
 ゲームの中のミモザは雑魚だが、しかし野良精霊に攻撃が通らないほどではなかった。ピンポイントで粘膜が露出した場所を狙わなければ倒せないというのは違和感がある。
(この熊が中ボスだからか?)
 しかし序盤の中ボスである。こういうのがボスですよ、というチュートリアルに出てくる程度のものだ。サプリメント マカ
(ーーということは)
 考えられる可能性は一つだ。
 今のミモザが弱すぎるのだ。おそらくだが、ゲーム開始時よりもチロのレベルが低い。
 実はこのゲーム、レベルが見れるようになるのは一番最初の試練の塔を攻略し終えてからである。
 そして試練の塔に入っていいのは13歳から。この世界の成人年齢をすぎてからなのである。
 つまりぎりぎり12歳のミモザにはレベルが見えない。
(これ、もしかして詰んでる……?)
 ミモザの額を冷たい汗が伝った。

 事態は膠着していた。
 大振りな攻撃をしてくる熊達と、一定の距離を保ちつつ立ち回るミモザの攻撃は互いに一向に当たらない。
(気が遠くなってきた)
 これがゲームならミモザはもう投げ出している。しかし今のミモザにとってこれは現実だ。投げ出せば待っているのは死である。
 そして単純にこの膠着状態がこれ以上続けば不利なのは仲間のいないミモザの方だった。
(まさかこんなところでぼっちを思い知らされるはめになるとは……)
 昨日までのミモザは想像もしなかっただろう。熊相手に友達多いマウントを取られているこの現状のことなど。
「……あっ」
 そクロムんなミモザにミスが出たのは必然だった。迫りくる熊と距離を取るために背後に踏み出した足を木の根に取られてしまったのだ。
「………っ」
 慌てて手をつきバランスを取るが、地面に膝をついてしまう。
 ずっとミモザを食ってやろうと狙っていた熊達がその隙を逃すはずもない。
(あ、これ死んだ)
 そう悟った瞬間、目の前に迫り来る熊達の顔面が急に目の前から消えた。
亜鉛の効果マカ と はゴーヤ

 その後は仕事ゴーヤ

 その後は仕事の話になり、ミモザはレオンハルトとアズレンの会話を聞くのみであっクロムの効能た。話題にはやはり野良精霊の異常増殖と狂化の件がのぼったが、現在は小康アントシアニンの効果状態であり以前の同時多発などは起きていないが継続はしていること、原因は相変わらず不明であること、そして人為的に引き起こされていることは状況証拠的にほぼ確定であることがやり取りの中で明かされた。
 最後に「では期dha待しているぞ!我が国の最強の精霊騎士よ!!」というアズレンの激励を受けて挨拶は終わった。
 そうしてマッスル王子との面会をなんとか無事に終えたレオンハルトとミモザだったが、その2人の間には今、
「……えっと、お食事でもお待ちしましょうか?」
「いやいい」
 微妙な空気が流れていた。
 原因は明白だ。
(好みのタイプ聞かれてとっさにレオン様の名前出しちゃったからなぁ)
 ミモザはぼんやりと斜dha epa dhaめ上方を見やる。シャンデリアが眩しい。
 レオンハルトの性格的に、あのような場であのような名前の出され方はきっと不愉快だったことだろう。王子の発言からするともしかしたらミモザがエスメラルダと話している間、彼は不機嫌な表情を浮かべていたのかも知れない。
(不機嫌な顔の何が面白いのかはわからないけど…)
 謝罪しなければ、と思いつつもどうにもタイミングが掴めず気まずい沈黙が流れていた。いっそのこと一発殴ってくれたほうが謝りやすいまである。
「ええっと、」
「君は」
 そこでやっとレオンハルトは重い口を開いた。ミモザは開きかけた口を閉ざして彼を見上げるクロム。レオンハルトはミモザのことは見ずに、手にしたグラスを眺めていた。
「先ほどの発言だが」
「す、すみませんでした!」
 思わず土下座する勢いで謝る。
「ええと、とっさに思い浮かんだ男性がですね!レオン様で!つい!」
「……そうか」
 恐る恐る見上げる。彼は非常に微妙そうな顔でこちらを見ると、はぁ、と一つため息をついた。
「君のことだから、そんなことだろうとは思ったよ」
「は、はぁ、えっと、次からは同じようなことを聞かれたら、えっと、別の誰かの名前を……」
「それはやめろ」
 強い口調に身をすくめる。ちらりと彼を見るとその目は据わっていた。
「それは、やめなさい」
「……はい」
「俺でいい」
 ふい、とまた顔ごと背けてレオンハルトはグラスを見つめる。
「そういう時に出す名はdha epa dha、俺でいい」
「……わかりました」
 本当はよくわかっていないがわかったふりをしておく。レオンハルトは「それでいい」と頷いたのできっとそれでいいのだろう。またしばらくの間が空き、どうしようかなぁとミモザがもぞもぞ身じろぎをし始めたあたりで、
「あー、君は」
 再び気まずそうにレオンハルトが口を開いた。
「はい?」
「ああいうのが好みなのか?」
「好み?」
 見つめ合う。先に目を逸らしたのはやはりレオンハルトだった。彼ははぁ、とため息を吐く。
「もういい。少し鷹を撃ちに行ってくる」
「鷹?」
「手洗いだ」
「あー……」
 レオンハルトからグラスを受け取りその後ろ姿を見送る。いつもよりその背筋が若干しょんぼりして見えるのはミモザの気のせいだろうか。ふと途中でレオンハルトは何かを思いついたように足を止め振り返ると「筋肉とか胸とかの餌をぶら下げられてもフラフラついて行くなよ」と念を押した。
「………はい」
 極めて遺憾である。

「ねぇ、あなた」
 レオンハルトがお手アントシアニン洗いに立って少しした頃に彼女は訪れた。
(僕のことを睨んでいた……)
 ピンクブロンドの髪に緑の瞳をした令嬢、アイリーンである。彼女はにっこりと笑顔でミモザに話しかけてきた。
「レオンハルト様からあなたを呼んでくるようにと言われたのだけれど、一緒に来ていただけるかしら?」
(嘘だな)
 とはすぐにわかったが、ここで平民のミモザが伯爵令嬢を無下に扱うわけにもいかないだろう。それに彼女の思惑も気になるところである。
「わかりました」
 ちょっとレオンハルトに言われた「フラフラついて行くなよ」が脳裏をよぎったが、別に餌をぶら下げられたわけじゃないからいいだろうとミモザは1人がてんして、彼女の誘いに応じることに決めた。
亜鉛の効果dhadha epa

 若い娘が楽しそゴーヤ チャンプルー

 若い娘が楽しそうにはしゃぐきゃっきゃっと明るい声が響く。
 そこは王都のメマカ と はインストリートに面したゴーヤ雑貨屋だった。生活や冒険に必要な物資やそれとは別に装飾品や化粧品なども売っていたりする店だ。店は若い娘も入りやすいような清潔でおしゃれな内装をしていた。
「ねぇ、見て! これ可愛い!」
 ステラマカ サプリは黄色い石のついたネックレスを手に取る。
「これ、こんなに可愛いのに魔道具なんですって。えっと、幻術を見せる魔道具……?」
 ネックレスにつけられたタグの内容を読んだ後、彼女は自分の胸元にそれを当ててみせた。
 にっこりと花のように微笑む。
「どうかしら?」
「よく似合ってるよ」
 言ったのはマシューだ。彼は微笑ましいものを見るように目を細めている。
 その時スッゴーヤと一人の青年が前に進み出てそのネックレスを奪うとお会計のレジへと無言で持っていった。
「ジーンくん!」
 驚くステラに、彼は振り返ると照れくさそうに笑った。
「よければプレゼントしますよ」
「えっと、でもそんなの悪いわ」
 遠慮するステラに彼は微笑むとたった今購入したネックレスをステラの首へと持っていった。
「どうか受け取ってください。僕のためだと思って」
 そうしてネックレスをつけてあげようとして、
「あ、あれ……?」
 金具の外し方がわからず四苦八苦する。
 それにステラはくすりと笑うと「貸して」とネックレスを受け取って金亜鉛 サプリ おすすめ具を外した。
「え、えーと、すみません、慣れてなくて……」
「ねぇ、ジーンくん、つけてくれる?」
 ここの金具をこうするのよ、と実際に実演してみせてからステラはネックレスをジーンに渡した。
「ね、お願い」
 そして、ん、と首を差し出す。
「……では」
 それにジーンは多少照れたように頬を紅潮させながらも真剣な顔を作って今度こそネックレスをつけた。
「ありがとう」
 ステラが微笑む。
 サファイアの瞳が喜びにうるんで美しかった。
「…………」
 アベルはその様子を少し離れた位置で眺めていた。その表情は場所にそぐわず険しい。
「アベル!」
 そんな彼の様子に気がついたのか、ステラは駆け寄るとネックレスを見せる。
「どう?似合ってる?」
「……ああ、おdhaまえはなんでも似合うよ」
 その気のない声にステラは頬を膨らます。
「もう、アベルったら変よ」
「……そうかもな」
「あ、そうだ!」
 ステラは何かを思いついたように自身のバックを漁ると何かを取り出して差し出す。
「元気のないアベルには美味しいものをあげるわ! ほら、あーん」
 そう言って彼の口もとに押し付けられたのは、飴だった。可愛らしいピンク色の、ハートの形をした飴だ。
 彼はその飴を見てわずかに躊躇したが、結局は口を開く。
「美味しい?」
「………ああ」
 アベルは忌々しげにその飴をがりっと口内で噛み砕いた。

 ミモザはのんびりと夕方の王都を散策していた。『黒い密売人』との交戦が決まってしまったため、どのように戦おうかと作戦を練っていたのである。
 はっきり言って本物の犯罪者と戦うのは保護研究会のロランという老人以来となる。しかもあの時はレオンハルトが駆けつけるのが前提の上、ジーンもいるという状況だった。その上ロランはそこまで好戦意欲の高マカい人物ではなく、かなりの時間を戦わずに潰すことが出来たが、今回はそうはいかないだろう。
(遭遇した時点で戦闘になるかな)
 まだ相手がミモザのことをステラと誤認している状況のうちに不意打ちで倒せればいいが、それをしくじった場合の対処も考えておかねばならない。
 レオンハルトはああ言ったが、信号灯を灯した時点で相手は逃げる可能性は高いし、今回仕留め損なえば次はミモザの前には姿を現さないだろう。
(一回しか騙されてくれないだろうしなぁ)
 さすがに二回もステラとミモザを間違えさせるのは無理だろう。なんなら合言葉なりなんなりの対策を取られてより姿を捕捉しづらくなるかも知れない。
(一回でけりをつけたいよなぁ……)
 ふぅ、と息を吐く。相手はミモザよりも対人戦闘に慣れている可能性が高い。準備はし過ぎるほどにしたほうが良かった。
(………ん?)
 視線を感じる。
 王都はミモザ達の故郷より遥かに人が多い。しかしそれに比例するように人の動向に無関心でもあった。このように見つめられるのはレオンハルトと共に行動している時以外では初めてだ。
 その視線の主が背後からdha epa dha近づいてくる気配を察して、ミモザは警戒しつつゆっくりと振り向いた。
「………よぉ」
「……アベル?」
 そこにはアベルが立っていた。
 藍色の髪に金色の瞳。歳を経るごとにレオンハルトに近づきつつあるその外見は、もしかしたら父親似なのかも知れなかった。
 ミモザは彼のことを疑うようにじーと見る。
「なんだよ」
 その視線にアベルは居心地悪そうにミモザのことを睨んだ。
「いや、脳みそパーになってないかなって」
「なってねぇよ」
 その返答にミモザはあれ? と目を見張る。
「なんで?」
「俺が聞きてぇよ」
 そこまで聞いてミモザは思う。この会話は意味不明だ。やり取りとして成立していない。
 大前提として『あの飴』の存在を知らなければ。
「ラブドロップ」
 ミモザは切り込んだ。
「食べてないの?」
「食ったよ」
「ーーなら、」
「だから知らねぇよ!」
 憤懣やるかたないという様子でアベルは怒鳴る。彼の精神はもうギリギリだったのかも知れない。その様子はふちのふちまで表面張力ぎりぎりで水を注がれたコップのように、感情が決壊して流れ出したようだった。
「俺が、元からステラに惚れてるからじゃねぇの? 惚れ薬飲んでもなんにもかわらねぇってことはよ」
 悔しげに、苦しげに彼は声を絞り出した。
「いっそのこと、脳みそパーになりたかったよ、俺だって」
 二人の間アントシアニンに沈黙が落ちた。ここでするような会話じゃないなとミモザは思ったが、だからと言ってじゃあどこなら相応しいのかもわからない。
 こんなどうしようもなくやるせない話をするのに相応しい場所など、もしかしたらこの世には存在しないのかも知れなかった。
「なぁ、ミモザ、お前もあの飴のこと知ってんのな」
「まぁ……」
「ーーってことは兄貴も知ってるよな、はは……」
「………」
「お前言ったよな、ステラの敵だって」
「うん」
「……っ! なんでそんなに割り切れんだよ……っ!!」
 耐えきれないというようにアベルは顔を歪めて叫ぶ。
「確かにあいつは間違ってる。悪いことをした。あいつおかしいよ、言ってもわからねぇんだ、わかってくれねぇんだよ、俺じゃ、あいつを止められねぇんだ」
 そして力無く俯く。拳を握っても振り上げることも出来ず、アベルは首を振る。
「けどさ、だからといってすぐに嫌いになんてなれねぇんだよ。今までのこと全部なかったことに出来ねぇんだよ。ずっとガキの頃から一緒にいるんだ。あいつは優しかった、優秀だった、格好良かった、それも全部本当なんだよ! なかったことにはならねぇんだよ!」
 そこまで言って、アベルは興奮に激しくなった呼吸を整えるように黙り込んだ。そして言う。
「なんでそんなに割り切れんだよ……」
 それは疑問ではなく批難の言葉だ。自分一人だけ楽な場所にいるミモザを責める言葉だ。
「……割り切れないよ」
 ミモザにはどうしようもない。アベルの苦しみはアベルがポリ ペプチド自らの意思で選び取った結果だからだ。
 そして同時にミモザの良心の呵責もまた、ミモザが選び取った結果だ。
「でも、割り切るって決めたんだよ。……僕が、僕であるために」
 のろのろとアベルは顔を上げた。その顔は先ほどまで興奮していたはずなのに血の気が引いて真っ白だ。
「そうかよ……」
「アベル、どうするつもり?」
 ミモザはアベルが嫌いだ。けれどもしもステラの罪を告発して保護を求めるならどこかその辺の騎士に口聞きをしてやっても構わない。
 そうすることで、きっとステラは色々なことを思い留まるかも知れない。
「……俺はあいつを見捨てられねぇ」
 しかしアベルは首を振った。
「どんな罪を犯しても、最低でも、最悪でも、あいつが悲しんだり酷い目にあったり、一人っきりで泣かせる気にはなれねぇんだ」
 ミモザのことを睨む。その目には先ほどにはなかった強い意志が宿っていた。
 痛みを覚悟した意志だ。
「説得は続ける。けど、あいつが犯した罪を、あいつ一人に背負わせることは俺にはできねぇ。……ミモザ、俺は」
 アベルはしっかりと自分の両足で立ち、姿勢を正した。金色の瞳に炎が灯る。
「どこまでもステラの味方だ。そう決めた」
「……そう」
 ミモザにはそれを止めることは出来ないだろう。それだけは理解できた。
dha epa dhaマカゴーヤ亜鉛

「ジーンくサプリメント マカ

「ジーンくん、……だったかしら?」
「ええ」
 ステラ亜鉛 の サプリはジーンの真剣な眼差しに苦笑を返す。
「酷い誤解だわ。わたしはただ亜鉛 の サプリ、この子を助けたいだけなの」
「そのために、それはいけないことだと諭す自らの妹に手をかけると? ステラさん、貴方は……」
 ジーンは醜いものでも見るように顔を歪めた。
「狂っている」
「酷いわ、ジーンくん」dha
 ステラはその強い言葉に傷ついたように目を伏せる。
「この間会った時は褒めてくれたじゃない。とても可愛いって、綺麗だって」
 思わずミモザが白けた目でジーンを見上げると、彼は誤魔化すようにごほんごほんと大げさに咳をした。
「あ、あの時はそう思ったんです。ですが、貴方の行動は度が過ぎている」
 そう言って強く否定するように首を横に振る。
「物事には限度がある。貴方はもう少し自分クロムのことを客観的にかえりみるべきだ」
「……貴方は、ミモザの味方なのかしら」
 ぽつりとステラはこぼした。その口調はひどく寂しげで、そしてとても禍々しい。
「どちらの味方とか、そういう問題ではありませんよ」
 呆れたようにジーンはため息をついた。
「どちらの意見に正当性があるか、これはそういう話です」
「王都に来てから……、なんだかおかしいわ」
 ジーンの言葉が聞こえていないかのように、ぽつりぽつりとステラはこぼす。
「村ではみんなわたしの意見を聞いてくれた。わたしは優秀だって、優しいって、正しいって言ってくれたのクロムに」
 ステラの表情は変わらない。涼しい表情のまま、唇にはわずかに笑みすら浮かんでいるというのに、その瞳だけがぽっかりと穴が空いたかのように薄暗かった。
「貴方はわたしよりもミモザが好きなの?」
「………。どちらが好きかで言ったら、まぁ、貴方のことは好ましくありませんね」
 ステラの瞳孔がショックを受けたように収縮する。そして一度ゆっくりと瞬きをした。
「邪魔をしないで」
「したくてしてるわけじゃないんですけど、ねっ」
 ステラから氷の破片が放たれたのを、ジーンは土壁を作ることで受け止めた。そのままその土壁は蛇のようにぐんっとうねると、一気に伸びてステラへと突進する。ステラはそれを避けたが、土壁はどこまでも追跡を続けた。
「……くっ」
 ステラは氷の破片を放ってdha epa土壁を凍らせることでその動きを止める。しかしその時にはもう、ジーンはステラの逃げるルートを読んで土壁と挟み込むようにその背後へと回り込んでいた。
「……っ」
 切り付けられた刃をステラはなんとかレイピアで受け止めたがその切先は耳障りな音を立てて滑り、ステラの頬を掠める。
 彼女の血が宙を舞った。
(すごい)
 ジーンのことである。魔力が多いことは知っていた。しかしあれだけの量の土を動かし、なおかつそのスピードもコントロールも落とさないというのはかなりの熟練の技だ。事実ステラもミモザも攻撃は直線的で、相手を追尾するなど困難である。
 それに剣術においてもジーンに一日の長があるのだろう。そもそもステラの武器であるレイピアは斬り合いをするようには出来ていない。接近を許し切り結んでしまった時点でステラは圧倒的に不利である。
「もうやめませんか。今ならばまだ貴方の行為は未遂だ。貴方が大人しく手を引くというのなら、僕は何もしませんよ」
「わたしが悪いことをしているみたいマカ サプリに言うのをやめて……っ!!」
 ステラが激情したように叫ぶ。その強さにジーンは呆気に取られたように動きを止めた。
 その隙を突いてステラが氷の破片を生成する。
「危ないっ!!」
 ミモザは素早く駆けるとジーンに飛びついた。
「ぐぅ……っ!」
 氷の破片が、すんでのところで飛び込んだミモザの足を貫く。そのまま2人はごろごろと地面を転がった。
「ミモザさん!」
「………っ」
 地面には2人が転がった軌道をなぞるようにそれなりの量の血が広がった。それに気づいたジーンが声を上げるが、ミモザはすぐに起き上がると油断なくメイスを構える。ジーンもその視線を追うようにして彼女のことを見た。
 彼女ーー、ステラのことを。
 ステラは無言で佇んでいた。いつもは華やかな笑みを浮かべる口元は無感情に閉じられ、明るい輝きを宿す瞳は昏くよどんでいた。彼女はレイピアをひたりとミモザへと向ける。
「わたしの邪魔をしないで」
 ぞくり、と身を震わせる。ミモザは自分の死を覚悟した。
「もうやめて!」
 唐突に、悲鳴のような声がその空気を引き裂いた。
 その声にステラが夢から覚めたように顔をあげる。振り返った視線の先では、少女が頭を抱えマカ と はるようにしてうずくまり、泣きじゃくっていた。
「もう、やめて。ごめんなさい、ごめんなさい、わたしが悪かったです、ごめんなさい」
 嗚咽を漏らしながら、彼女は言葉を紡ぐ。
「こんなことになるなんて思わなかったの、こんな、怪我する人が出るほどのことだなんて……」
「貴方は気にしなくて良いのよ?」
 ステラがゆっくりと彼女に近づく。少女はそれに怯えたように身を引くと、拒絶するように首を振った。
「ごめんなさい! わたしが間違ってました。ごめんなさい、ごめんなさい……っ」
「君たち、一体何をしているんだい?」
 その時落ち着いた男性の声が響いた。見上げるとそこには教会騎士団の制服を着た若い男性が立っていた。彼は訝しげに身を震わせて謝罪を繰り返す少女と血を流すミモザ、それを支えるようにするジーン、そして立ち尽くすステラを見る。
 周囲を見渡すと塔に入るために行列を作っていた人々が伺うようにこちらを見ていた。
(そりゃそうだ……)
 いかに距離を取った場所でのやりとりだったとはいえ、あれだけ派手にやり合えば人目につくに決まっている。心配した人々が騎士に報告したのだろう。
「とりあえず……、そっちの子は手当をしようか。あと全員話を聞かせてもらうから、詰め所まで来てもらうよ」
 彼は冷静にそう告げた。
アントシアニンの効果マカ と はアントシアニンの効果アントシアニン

「な、なんマカ と は

「な、なんで」
 ミモザは思わず後退る。
「なんでもよ!」
「ステラ、いい亜鉛から……」
 アベルが止めようとステラの肩に手をかける。
(そうだマカ サプリ!止めろ!お前の責任で止めろ!)
 ミモザは心でエールを送った。しかし、
「ミモザ!」
 ステラはその手を払いのけた。そのままミモザに詰め寄る。
「このままなんていけないわ。許されないまま、許さないままなんて絶対によ亜鉛 サプリくない」
(いや、それ決めるのお姉ちゃんじゃないし)
 と、内心で思いつつ姉の迫力に負けて言い出せないミモザである。
 結局ミモザが言えたのは「い、い、いやだ」という弱々しい言葉だけだった。
「ミモザ」
「いやだ」
「ねぇ、お願いよ」
「いやだぁ」
「ミモザだってお友達が減っちゃうのは嫌でしょ?」
「いやだぁ」
 あ、しまクロムの効能った、と思った時にはもう遅かった。恐る恐る姉を見ると、彼女は満面の笑みを浮かべていた。
「そうよね!わかってくれるわよね!ミモザ!」
「いや、ちがっ、そうじゃなくて!」
「約束よ!わたしが勝ったら仲直り!」
 そう言ってミモザの両手を取りステラはぶんぶんと振り回すと、教師から集合の合図がかかったことに気づいてそちらへと行ってしまった。
「い、いやだぁ…」
 ぽつんと1人たたずんで、ミモザはぽつりとつぶやいた。
 そしてちょっと泣いた。
 ミモザにとって別の意味で負けられない戦いが始ゴーヤまった瞬間だった。

 学校生活がうんぬん、これからの人生がかんぬん。
 校長が何か長い話をしている。それをぼんやりと眺めていると、やっと話が終わったのか壇上から降りていった。
「生徒代表」
 アナウンスに答えて「はい!」と元気よく返事をしたのは、当たり前のようにステラだった。
「宣誓!」
 そのまま選手宣誓を始めるのをぼんやりと眺める。これから始めるのはそれなりに暴力的な行為のはずなのに、それは随分と牧歌的な光景であった。
 定型文のそれはすぐに終わる。ステラの美しいハニーブロンドが青空によく映えた。くるりと身を翻して壇上から降りるその姿はすらりと背筋を伸ばし、自信に満ち溢れている。
 ぶるり、とミモザは身震いをした。
 段々とdha epa dha、ゲームの本編が始まったのだという事実に実感がともなってきたのだ。
 ステラの姿、選手宣誓の言葉、あらゆるところに既視感が溢れている。
 どきどきと心臓が脈打つ音が聞こえる。じっとりと汗が滲み出てきていた。教師の指示に従い、試合のための場所へと移動する。
 田舎の村の生徒の数などたかが知れていた。そのため試合のためのコートは2つしかない。ただ校庭に長方形に縄で印がつけられただけの場所だ。
 そのうちの一つへと案内されて立った。目の前に対峙するのは当然、ステラだ。
 彼女の美しいサファイアの瞳が、情熱に燃えて凛とこちらを見据えていた。
「用意を」
 審判役の教師に促され、お互いに守護精霊を武器の姿へと変える。
 ミモザのチロはメイスへと。
 そしてステラのティアラは美しいレイピアへと姿を変えた。
 ぞくぞくと、身が震える。ゲームの姿通りの彼女が目の前にいる。
 ステラの目に不安はない。いつだってそうだったゴーヤ チャンプルー。彼女は自信に溢れ、自身の存在価値を疑わない。
(僕なんかに負けないって思ってるんでしょ)
 ステラがレイピアを正面に構える。ミモザもメイスを構えた。
(だからあんな賭けを持ち出したんでしょ?)
 勝つと信じているから、軽々しく『賭け』を持ち出せる。
(そういえば……)
 ミモザが勝った時の対価を決めていなかったな、と思う。ミモザもだが、それくらい自然に彼女は自分の勝ちを確信しているのだ。
「お姉ちゃん、僕が勝ったら何をしてくれるの?」
 そう尋ねると、彼女は驚いた顔をした。
「あら、そういえばそうね。……うーん、じゃあ、わたしにできることならなんでも」
 本当に軽々しいな、とミモザは思う。しかし別にそれでいい。今は、
(せいぜい油断すればいい)
「その言葉、忘れないでね」
「もちろんよ、ミモザ」
 彼女は余裕の表情で微笑んだ。
「両者、準備はいいか?」
 2人は同時に頷く。その姿は鏡写しのように瓜二つなのにその表情は正反対だ。
 1人は微笑んで、
 そしてもう1人は無表情だった。
「試合時間は20分。決着がつかなかった場合は仕切り直しとする。それでは、用意……、マカ サプリ始め!」
 戦いの火蓋は切られた。
 その言葉と同時に、まず動いたのはステラだった。彼女がレイピアをまるでステッキのように振ると、そこから氷の破片が次々と放たれた。それをミモザは走って避ける。
(学校の履修程度でこの威力かよ!)
 地面に突き刺さった破片はそのまま周囲を凍らせる。あっという間にコートの1/3は氷に包まれてしまった。あまり放っておくと足を取られる可能性が高いため、できる限りでメイスを振るい氷を破壊する。
 レベルは3年間修練を積んだミモザのほうが高いはずだ。しかし現時点でMP量も魔法の威力もステラの方が上回っている。
 ステラの弾幕のように放たれ続ける氷を避けながら、ミモザは棘を伸ばして反撃を仕掛けた。しかしそれはあっさりとかわされる。当たり前だ。ミモザの棘は直線でしか攻撃できないため、長距離を取られると軌道が読みやすい。その上コート上では遮蔽物も何もないのだ。複数の棘を伸ばしたところでその数はたかが知れているし、起点が同じ以上あまり数の利点はない。
 そして今回は試合なので時間制限がある。消耗戦は狙えない。
 本当に不公平だと思う。ステラのその才能の半分でもあれば、ミモザはきっと救われたのだろう。
 だってステラはまだ、持っている属性攻撃のうち一つしか出していないのだ。
 ステラの持つ属性は二つ。それは最初かゴーヤら目覚めている。一つは氷、そしてもう一つはーー、
「ミモザ」
 その時ステラが口を開いた。その唇は褒めるように慈悲深い微笑みをたたえている。
「戦うのがとっても上手になったのね。お姉ちゃんは嬉しいわ」
「何をーー」
「だからね、ミモザ」
 彼女は慈悲深い微笑みのまま、レイピアを天高くに掲げてみせた。
「わたしのとっておき、見せてあげるね」
 その手が振り下ろされる。それはミモザには首を切るギロチンを想像させた。
 彼女のもう一つの属性攻撃、光だ。
亜鉛の効果ポリ ペプチド亜鉛 の サプリ

 木陰からその手はクロム

 木陰からそ亜鉛の手は伸びていた。大きくふしだった男の指先が『それ』亜鉛 サプリとミモザの手にするモーニングスターメイス、チロのことを示す。
 チロからは黒い塵のような魔力のオーラが漏れ出ていた。
 慌てて背中にチロのことを隠すが、男のクロムセリフからも、もう遅いのは明白だ。
 声とともに影から姿を現したのは引き締まった体に教会に属する精霊騎士であることを示す白い軍服を身にまとった美丈夫だった。
 夜空のように深い藍色の髪は豊かに脈打ちリボンで一つに束ねられて背中を流れ、その長い前髪で右目は隠されているものの黄金色の左目がこちらを眼光鋭く見据えていた。
 彼の背後にはミモザの背丈ほどもある亜鉛翼の生えた大きな黄金の獅子が同じくこちらを睥睨している。
 その王者然とした堂々たる体躯の男にミモザは見覚えがあった。
(嘘だろ)
 心中でうめく。
 彼の名はレオンハルト。
 いじめっ子のアベルの腹違いの兄であり、この国最強の精霊騎士である『聖騎士』の称号を冠する最強の男であった。

 『狂化個体』は取り締まりの対象である。
 その多くは欲望に理性を飲まれてしまい何をするかわからないからだ。
 実際、ゲームの中のミモザとチロも最初はささやかな嫌がらせをする程度だったのが段々とヒートアップしていき、亜鉛の効果最後の方はかなり直接的に主人公達に危害を加えようとしていた。
 ミモザは後退る。
「いや、これは……っ」
 なんとか言い訳を捻り出し逃げ道を探そうとして、不意にその体が発火するような熱につつまれ、息が詰まって二の句が告げなくなった。
「……はっ」
 呼吸が荒くなる。動悸がする。
 一瞬レオンハルトが何かをしたのかと疑ったが、すぐに違うことに気がついた。
「チゥーー」
 チロが低く唸る。
 チロが身に纏った黒い塵のようなオーラが、チロを握る手を伝い、ミモザの身体も飲み込もうとしていた。
「……あっ、」
 体が勝手に臨戦態勢をとる。チロに引っ張られるようにその切先をレオンハルトへと向けた。
 彼にもミモザの状況がゴーヤわかったのだろう。側に控えていた黄金の翼獅子に手をのばし、その姿を身の丈ほどの見事な刃ぶりの剣へと変じさせる。
(待て……っ!)
 心で命じるのに体が言うことを聞かない。いや、違う、あれは敵だ。
 自分達を拘束しに来た敵だ、と頭が警鐘を鳴らす。
「チチッ」 
 バレたからには殺すしかない、とチロが囁いた。
亜鉛 サプリ おすすめ亜鉛 サプリ

 そこにはマカ と は

 そこには美しい麗人が立っていサプリメント マカた。
 背中まで真っ直ぐと伸びる銀の髪に月光を集めたかのようサプリメント マカに輝くやや吊り目がちな銀の瞳、その身に真っ黒な軍服を纏う彼女は確かに美人だった。
 そして巨乳でもあった。
 ぽかん、とミモザは口を開けたまま固まる。そんなミモザに彼女は再度にこりと笑いかけた。
「好きかしら?」
 そ亜鉛の効果の凄みのある笑顔に思わずミモザはこくこくと頷く。まぁ好きか嫌いかで言うと好きなので嘘ではない。
 彼女のたわわに実った胸を見て、それから自身の胸を見下ろした。12歳のミモザは年齢相応につるぺただった。
(悲しい)
 ついでに言うと双子にも関わらずステラの方がミモザよりも胸は大きかったりする。つまりミモザは胸の大きさでもステラに負けている。
(悲しい……)
 ずんと暗い亜鉛の効果表情で沈むミモザの頬を、チロは慰めるように両手で撫でた。そんな落ち込むミモザの姿を見て、女性はにんまりと微笑む。
「ねぇお嬢さん。わたくしに弟子入りをすれば、巨乳になるコツを教えてあ、げ、る」
「それって、ぐぇっ」
 その魅力的な提案に思わず釣られかけたミモザの襟首を掴んで引き止める手がある。レオンハルトだ。
 彼はミモザのことを猫の子のように襟首を掴むと、ずりずりと自分の元へと引きずり寄せた。
「人の弟子をくだらない方法で勧誘するのはやめてくれないか。マナー違反だ」
 じろりとその女性をにらむ。
「あdha epaらん、貴方のことだから弟子なんて使い捨て程度に思ってるかと思ったら、案外可愛がってるのね」
「さてな」
 女性の揶揄にレオンハルトは素知らぬ顔で応じる。
 2人の目線の先にばちばちと幻の火花が見えた。
(うーん?)
 ミモザは首を傾げる。彼女の服装、あれは王国騎士団の制服である。教皇が王国騎士団の制服を着ているわけがないから彼女はきっとオルタンシア教皇ではないのだろう。その時、彼女の横に立つ少年と目が合った。さらさらの黒髪をきっちりと切り揃えた少年はその黒い瞳を細めて爽やかに笑いかけてきた。
 年齢はミモザと同じくらいだろうか。清涼飲料水のCMに出れそうなくらいの爽やかさだ。
 しばらく待ってみたが両者の睨み合いが終わる気配がなかったため、ミモマカ サプリザは少し考えてから口を開いた。
「レオン様は巨乳はお嫌いですか?」
「……巨乳はともかくあれはただのゴリラだ」
 憮然とした顔でレオンハルトは応じる。
「ひどいわゴリラだなんて。なんか言ってやってよ、ジーン」
 彼女は隣の爽やか少年に声をかける。彼は笑顔を崩さないまま答えた。
「先生がゴリラなのは否定できませんが、それはともかく僕の常識では金髪美少女は巨乳なんて単語は言わないので今の発言は聞かなかったことにします」
「おいおい全員クセが強すぎるぜ。まともなのは俺だけか?ちなみにお兄さんは胸より尻派だ」
「誰がお兄さんよ、ずうずうしい。おじさんの間違いでしょう?」
「あーん?自己紹介か?お、ば、さ、ん」
「いやぁ、元気なのはいいことですね」
 不毛な4人のやり取りを新たな声が遮る。それは静謐で落ち着いた男性の声だ。
「ですが皆さん、私の存在をお忘れではないでしょうか?」
 紫がかった黒髪をオールゴーヤ チャンプルーバックに撫でつけ、すみれ色の瞳をした壮年の男性が実は女性の背後に隠れていた執務机に腰掛けていた。
 元々細い目をさらに細めてにっこりと微笑んで、彼は「そろそろ本題に入りましょうか」と厳かに告げた。
 どうやら彼がオルタンシア教皇聖下らしかった。

「報告は以上です」
 ガブリエルは真面目くさった顔でそう締めくくった。それに教皇はうんうんと穏やかに頷いて「レオンハルト君は何か付け足すことはありますか?」と尋ねる。
「特には。しかしこの異常は徐々に頻度が増えている様子があります」
「そうですね。とても気がかりです。しかし原因をつかめていない以上、対症療法を続ける他ないでしょう」
(ううっ)
 思わず罪悪感で胸を押さえる。ミモザがちゃんと前世の記憶を思い出せれば原因は判明するのだ。
 今わかっていることは3年後に姉がそれを解決するということだけだ。
(いや、待てよ?)
 ミモザの記憶にはとんでもなく強い狂化個体をステラが仲間と力を合わせて倒すシーンがある。しかしその原因を取り除いていたかまでは定かで亜鉛の効果はない。
(もしかして、3年経っても解決しない可能性がある?)
 だとすればそれはゆゆしき事態だ。いやしかしそんなに中途半端な解決をゲームをするプレイヤーが許すだろうか?
(よし!)
 ミモザは帰ったら記憶を思い出しやすくするおまじないを試すことに決めた。チロはそんなミモザの思考を見透かしてやれやれと首を横に振る。
「ところで彼女達はなぜここにいるのですか?」
 報告が一区切りついたところで、レオンハルトは王国騎士団の美女とジーンと呼ばれていた爽やか少年を目線で示して訊ねた。
「そんな邪魔そうに言わないでよ。要件があって来たに決まってるでしょ?」
 美女は口紅の塗られた唇を吊り上げて笑う。そしてちらりとミモザのことを見た。
「そうね。初対面の子もいるから自己紹介からしようかしら。わたくしはフレイヤ・レイアード。由緒あるレイアード伯爵家の長女にして、王国騎士団団長よ」
「僕はその弟子のジーン・ダンゼルと申します。以後お見知りおきを」
 そこまで言って2人してミモザのことをじっと見つめてくる。その視線にはっとしてミモザは慌てて「レオンハルト様の弟子のミモザと申します」と頭を下げた。
 試練の塔を終え御前試合にて成績を残し晴れて精霊騎士となった者の進む道は、一般的に2つに別れる。
王国騎士団dha epa dhaに行くか、教会騎士団に行くか、である。
王国騎士団はその名の通り国に仕える騎士であり、教会騎士団も同様に教会に所属する騎士のことである。そしてどちらに行くのかの境目は出自だ。貴族は王国騎士団へ、平民は教会騎士団へと入る。稀に貴族にも関わらず教会騎士団へ入る者もいるが逆はない。つまり目の前にいる2人は確実に貴族であった。
 ミモザはすすっとさりげなくレオンハルトの背後へと移動する。田舎では貴族になどまず出会わないが、それでも無礼を働けばどのような目にあうかの見当くらいはつく。
 フレイヤはそれをどう思ったのか「あら可愛い」と微笑んだ。
「心配しなくても酷くしたりしないわよ。伯爵位を持つ聖騎士様の弟子に軽々しい真似はできないもの」
(伯爵位持ってたのか)
 今さらのことを知って驚く。我が事ながら自分の師に対しての知識が浅すぎる。言い訳をさせてもらえればレオンハルトは自分のことを話したがらない人であるし、これまで特に知らなくても困らなかったからだと言っておく。爵位を持っているのは知っていたが、そんなに上の方の位だとは思っていなかった。
 ちらりとレオンハルトを見上げると、彼は肩をすくめて見せた。
「最初は男爵位だったんだがな。授与される前に間が空いてしまってその間にもいろいろと功績が増えていったんだ。その結果なんの位にするか貴族達の間で意見が割れてな。色々と面倒になっていらないと言ったら吊り上げ交渉と誤解されて伯爵位になってしまった」
「はー…」
 ミモザのようなアントシアニン一般庶民にはなんとも理解が追いつかない話である。まぁ、貴族としてもレオンハルトと友好関係を築きたかったのだろう。
 レオンハルトはいつも白い教会騎士団の制服を着ている。一般的に聖騎士はどちらの騎士団にも属さない独立した存在のはずだが、元々が平民ということもあり教会騎士団との方が距離が近いのだろう。この世界の教会は宗教団体ではあるが政治的には市民の代弁者の役目も担っている。そのための教会騎士団であり抑止力として国もその存在を許容しているのだ。しかし貴族にとっては忌々しい存在だろう。最強の騎士が教会、ひいては平民寄りというのもよろしく思っていないに違いない。それを少しでも貴族側に引き寄せるために爵位を与えたとするのならばそのような高い待遇も理解できるような気がする。
(まぁ、難しいことはわからないけど)
 今のミモザにとって大事なのは、とりあえずフレイヤに軽々しく扱われる心配は低いということである。全力でレオンハルトの威を借りているが、社会的地位に関してはどうしようもない。
「今日わたくし達が来たのはね、『試練の塔被害者遺族の会』についての相談よ」
 その言葉を聞いてレオンハルトとガブリエルにぴりっと緊張が走った。
ゴーヤ チャンプルーポリ ペプチドクロムマカ と は